借金があり生活に困っている方の中には、生活を立て直すためにどうにかして借金を帳消しにできないかと考える方もいるでしょう。
結論、条件次第で借金の帳消しは可能です。
ただし、借金を帳消しできる一方で、デメリットや注意点もあるため、自己判断で安易に手続きするのはおすすめしません。
この記事では、借金を帳消しする3つの方法について、メリット・デメリットや注意点と共に解説します。
借金問題に悩む方は参考にしてください。
この記事でわかることは?
- 借金を帳消しにする具体的な方法
- 借金を帳消しにする時に注意すること
- 借金を帳消しにせずに減額する方法
知っていれば怖くありません。
借金でお困りの方の参考になれば幸いです。
借金を帳消しにする3つの方法
結論、借金は帳消しできます。
借金を帳消しする具体的な方法は、自己破産・過払い返還請求・借金の時効援用の3つです。
ただし、上記の方法は申請すれば必ず借金を帳消しできるわけではありません。
それぞれに利用条件があり、事前に自分が条件に当てはまるか確認が必要です。
次から3つの借金帳消し方法について解説します。
自己破産
自己破産とは、裁判所に申し立て、借金を原則免除してもらう方法です。
借金の返済能力がないことを裁判所に認められれば、借金返済を全額免除してもらえます。
自己破産の利用条件は、借金を返済する財力も能力もない支払不能状態である・免責不許可事由に当てはまらないの2つです。
免責不許可時給とは、借金の原因が浪費や賭け事であることや過去7年以内に自己破産歴などが当てはまります。
自己破産のメリット:ほぼ全ての借金の支払いが免除される
自己破産のメリットは、ほぼ全ての借金の返済が全額免除される可能性があることです。
そのため、借金で困窮した生活を立て直すにはおすすめの解決方法です。
また、生活保護を受給中の方や無職の方でも申請ができます。
なお、自己破産手続きには費用がかかりますが、条件を満たせば手続き費用を免除してもらえるケースもあるので、幅広い方が利用できるのもメリットでしょう。
自己破産のデメリット:5〜10年間ブラックリストに登録される
自己破産は、正当な方法で借金を帳消しできる一方で、5〜10年間は金融機関のブラックリストに登録されることに注意しなければなりません。
ブラックリストに登録されている間は、信用がない状態ですので、日常生活において一定の制限が生じるでしょう。
なお、官報にも事故情報が残るため職業や資格によっては影響がでる可能性もあります。
また、不動産や車、預貯金など一定の財産は自己破産時に回収されるので注意してください。
過払い返還請求
過払い返還請求は、利息の過払い金に対して返還を求める手続きです。
返還された過払い金で借金を相殺できれば、帳消しできます。
ただし、過払い返還請求するにはかなり限定的な条件を満たす必要があるので注意してください。
限定的な条件とは、借り入れ時期が2010年6月18日以前・過払い金の時効成立前・過払い金の返還請求先の会社が存在しています。
このように、請求条件がかなり限定的であり、手続きを検討する際は司法書士など専門家に依頼しましょう。
過払い返還請求のメリット:借金帳消しに加えて、還付金を受けられる場合がある
過払い返還請求は、過払い金によって借金を相殺できる可能性があることに加え、還付金まで受け取れることがメリットです。
借金が相殺できれば、自己破産とは異なりブラックリストに登録されたり、一定の財産を失う必要もありません。
そのため、問題解決後は生活において生じる制限もなく、生活を早期に立て直しやすいでしょう。
過払い返還請求のデメリット:使用していたクレジットカードやローンが利用できなくなる
過払い返還請求した場合、基本的に過払い返還請求した会社のクレジットカードやローンが利用できなくなります。
理由は、返還請求した会社に限り、過払い金返還請求した事実が事故情報として登録されるためです。
なお、系列会社にも情報共有されるので、関連会社でのクレジットカードやローンの利用も難しくなる場合もあります。
借金の時効援用
借金の時効援用とは、一定期間を超えて返済していない借金を消滅させる手続きです。
貸付業者が債務者から借金を回収する権利を一定期間を超えて行使しなかった場合に、権利を消滅させる仕組みになっています。
具体的には、最後の返済もしくは返済期日から5年または10年を経過した場合に利用可能です。
■借金の時効援用については別の記事でも詳しく解説していますので、併せて参考にされてください。
メリット:裁判所を通さず借金を帳消しできる
時効援用は、時効成立の条件を満たせば裁判所を通さず、借金を帳消しできるのがメリットになります。
時効援用は、時効援用通知書と呼ばれる書面を用意し、内容証明郵便にて債権者に郵送すれば手続き可能です。
時効援用できれば、借金滞納によって登録された事故情報が消滅する場合もあり、クレジットカードやローン、キャッシングの再利用が可能になる場合もあります。
デメリット:時効援用できなかった場合、一括返済を請求される場合がある
借金の時効援用は、時効援用手続きができなかった場合、債権者から一括返済を請求される可能性があるのがデメリットです。
そして、多くの場合において、一括返済に加えて遅延損害金も合わせて請求されます。
そのため、少なくとも5年以上返済しなかった分の遅延損害金が上乗せされるとなると、返済金額は元本を大きく上回る可能性が高いでしょう。
借金を帳消しする際の注意点
借金を帳消しする方法について解説しましたが、手続きの際は事前に知っておくべき注意点があります。
注意点を知らないと、たとえ手続きしても意味がなくなってしまう場合も出てくるでしょう。
手続きには、手間と時間、さらに費用もかかります。
注意点を押さえて、正確かつ確実に自分に適した方法で手続きを進めましょう。
自己破産の注意点
自己破産は、手続きしても返済義務が免除されない借金があることに注意が必要です。
自己破産で免除されない借金は非免責債権と呼ばれ、税金や保険料・離婚時の慰謝料や養育費・損害賠償金や反則金などが該当します。
コトバのカイセツ=非免責債権とは=
自己破産の手続きが認められると、破産者は債務を免責されます。
しかし、特定の債務については免責されず、自己破産が認められた後も残り続けます。
これを非免責債権と呼んでいます。
非免責債権の具体例としては次のようなものが挙げられます。
- 税金(所得税や住民税など)
- 公共料金(電気代や水道代など)
- 国民健康保険料や介護保険料
- 離婚時の慰謝料や養育費
- 交通事故を起こした際の損害賠償請求権
- スピード違反の反則金 など
自己破産は、借金に悩む国民の生活を立て直すための法的手続きではありますが、全ての借金を免除しては社会の公平さを保てません。
そのため、自己破産は、非免責債権にあたる借金がいくらあるのかを明確にした上で検討するのが重要です。
また、どのような借金が非免責債権にあたるのかは専門家でない限り、適切に判断するのは難しいので、司法書士などに依頼するのが良いでしょう。
過払い返還請求の注意点
過払い返還請求の注意点は、低金額の返還しか受けられない、請求金額の全額が返還されないなどの可能性があることです。
近年、過払い返還請求件数や実際に返還される過払金額の増加に伴い、貸付業者やクレジットカード会社の対応が厳しくなりつつあります。
そして、和解条件が厳格化されており、請求者が納得できる金額を返還してもらいにくくなってきているのです。
そのため、返還請求の交渉を請求者本人が対応するのは難しいといえます。
確実に交渉を進めるには、司法書士など専門家に依頼するのが良いでしょう。
借金の時効援用の注意点
借金の時効は更新可能であることに注意してください。
つまり、返済期日や最後の返済から5年または10年経過していても、時効が更新されていたら時効援用できません。
時効期間中に債務者が借金の存在を認める行為をとったり、債権者が債務者に返済を求める行為をしたりすれば、時効は更新されます。
例えば、債務者が時効期間中に今ある借金を少しでも返済したり、債権者が督促など法的な返還請求をしたりする行為が時効更新事由の対象です。
なお、基本的に債権者は時効が成立しないよう動き、時効をスムーズに成立させることは難しいでしょう。
帳消しができない借金を減額する方法
借金の帳消しはそれぞれ利用条件があり、借金を抱えるすべての方が帳消しできるわけではありません。
しかし、借金は帳消しできなくても、債務整理すれば減額できる場合があります。
具体的には、任意整理や個人再生を申請すれば、借金の減額が可能です。
ただし、いずれにも利用条件がありますので、事前に確認してください。
任意整理
任意整理とは、債権者と直接交渉を行い、無理のない返済計画にしてもらう債務整理方法です。
一般的に、3〜5年での完済を条件に、利息を減らして月々の返済負担を軽減させられます。
借金そのものがなくなるわけではなく、借金を返済できるだけの安定した収入があることが利用条件です。
裁判所を通さず手続きでき、家族や会社など周囲の方に借金の存在を知られにくく、家や車などの財産を失わないことがメリットになります。
一方で、減額後の借金完済から5年間はブラックリストに登録されるため注意してください。
また、交渉する債権者次第では希望通りに減額してもらえるとは限りません。
個人再生
個人再生とは、裁判所に申し立てを行い、再生計画の認可を受けて借金を減額させる方法です。
借金をおよそ5分の1〜10分の1に減額できる可能性があります。
ただし、原則3年間、長くても5年間で分割返済しなければなりません。
借金が5,000万円以下であること、減額後の借金を返済できるだけの収入があることが利用条件になります。
任意整理よりも大幅に借金を減額できる一方で、連帯保証人・保証人にも影響が出てしまい、借金の存在が周囲に知られる可能性が高いでしょう。
また、手続きが複雑であり、手続き完了までに1〜2年もの時間がかかるのもデメリットです。
まとめ
借金の帳消しは、条件をみたせば可能です。
また、借金を帳消しできなくても減額させる方法もあります。
ただし、どの方法においても十分な知識なしに手続きはできません。
借金問題をより早く、確実に解決させたい方は司法書士へ相談するのがおすすめです。
ひとりひとりにあった方法で、借金問題を解決まで導いてくれるでしょう。