闇金の押し貸しとは?押し貸しされた時の対処方法を司法書士が解説

闇金の押し貸しとは?押し貸しされた時の対処方法を司法書士が解説

押し貸しとは、闇金業者が無断でお金を振込み、この送金を「金銭を貸し付た」と主張して、違法な高利での返済を要求する手口です。

被害者は借入の意思がないにもかかわらず、勝手に口座にお金が振り込まれ、恫喝や昼夜を問わず1日に何回も催促の電話をかけるなどの手段で、返済を要求されるため精神的に圧迫されてしまいます。

本記事では、この押し貸しの具体的な実態と被害事例を通じて、押し貸しの現状とその危険性について解説します。

さらに、被害に遭遇した際の対処法や、予防方法についても解説していきます。

この問題への理解を深め、自身や身近な人が押し貸しの被害に遭わないようにするために、また被害にあった時にすぐに被害状況を回復できるために、ぜひ最後まで読み進めてください。

目次

闇金の押し貸しとは?

はじめに、闇金業者による「押し貸し」の定義とその手口を解説していきます。

もちろん、闇金業者による「押し貸し」の被害は返済する義務もありませんし、闇金業者が主張する契約は無効です。

その法的背景についても解説してまいります。

押し貸しの定義と闇金業者の手口

押し貸しは、無断で他人の口座にお金を振り込み、その後で暴利な返済を迫るという闇金業者の手口です。

被害者は借入を申し込んだ認識はなく、銀行口座情報を含む個人情報が流出した結果、その情報が闇金業者に渡ることをきっかけとします。

最初は小額の振り込みから始まりますが、闇金業者から利息や遅延損害金を含む返済を要求され、借入であることを認めてしまうと追加融資や違法な高利により急速に被害額が膨れ上がっていき、高額被害に発展します。

押し貸しの法的背景

当然ですが、押し貸しは返済する義務はありません。また闇金業者が主張する貸金契約などは無効です。

ここでは、その法的根拠について解説いたします。

まず、闇金による押し貸しは「不法原因給付」にあたります。

コトバのカイセツ=不法原因給付とは=

民法第708条では次のような条文があります。

第708条(不法原因給付)

不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。

引用:https://ja.wikibooks.org/wiki/民法第708条

つまり、違法な金利で貸付(不法な原因のために給付)をした闇金業者は貸したお金の返済を請求できません。

これを不法原因給付と読んでいます。

ただ、万が一小額の振り込みが闇金による「押し貸し」ではなく、何者か第三者の手続きミス(口座番号などの誤入力など)の場合は、不当利得(法律上の原因なく受けた利益)になるため、お金は返金しなければなりませんので、銀行などに確認をとると万全です。

さらに、貸金業法においても、登録を受けずに金銭の貸し付けを行う行為は違法であり、違法な利息を請求する行為も出資法やや利息制限法によって厳しく規制されており、闇金はそれに違反しています。

tips!!〜利息制限法の上限利率とは

利息を制限する法律には「利息制限法」と「出資法」があり、次のように定められています。出資法の上限利息は利息制限法と同じ利率です。

(利息の制限)

第一条 金銭を目的とする消費貸借における利息の契約は、その利息が次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める利率により計算した金額を超えるときは、その超過部分について、無効とする。

 元本の額が十万円未満の場合 年二割

 元本の額が十万円以上百万円未満の場合 年一割八分

 元本の額が百万円以上の場合 年一割五分

引用:e-gov法令検索 利息制限法

(高金利の処罰)

第五条 金銭の貸付けを行う者が、年百九・五パーセント(二月二十九日を含む一年については年百九・八パーセントとし、一日当たりについては〇・三パーセントとする。)を超える割合による利息(債務の不履行について予定される賠償額を含む。以下同じ。)の契約をしたときは、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。当該割合を超える割合による利息を受領し、又はその支払を要求した者も、同様とする。

引用:e-gov法令検索 出資法(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律)

闇金の押し貸しは、この上限利率を超える利率で貸し出していると主張するため、違法です。

このように、押し貸しは被害者にとって予期せぬ負担となり、法律で定められた範囲を超える不当な利益を闇金業者が追求する行為であるため、返済の義務はなく、契約は無効です。

押し貸し被害の事例

ここでは闇金による押し貸し被害の実際にあった実例を紹介します。

その手口や被害に至る経緯類型しています。

低額の振り込みがあり、適切な対応ができず闇金の脅しに屈してしまい、被害が拡大した事例

ある被害者の口座に突然8,000円が振り込まれました。

銀行への問い合わせなどを行わず放置していたところ、闇金業者から高利な利息とともに返済を要求する電話があり、脅しに屈して請求された金額を振り込んでしまった。

脅しに屈して、警察への相談・届出をしないまま、他の闇金業者から目をつけられてしまい5社以上の闇金業者から押し貸しの被害を受けることになった。

このケースでは、被害者は司法書士の助けを借りて取立てを停止させましたが、多額の費用が発生しました。

■銀行に問い合わせることで、被害を回避できた事例

被害者が自分のネットバンク口座を確認したところ、見知らぬ会社から数千円が振り込まれていたといました。会社名はアルファベット6文字で記載されており、被害者は身に覚えがないことから、銀行に問い合わせをして組み戻しの処理を行いました。

組み戻しの際に闇金業者から電話がありましたが、警察への相談を視野に毅然と対応したところ、ことなきを得た事例です。

■一度は断った融資だったが・・・

被害者は一度は闇金の融資を申し込みましたが、その後考え直し、融資を断りました。

しかし、その後申し込み時に伝えていた口座に勝手に3万円が振り込まれ、2万円の手数料と合わせて5万円の貸付があったと主張されました。

不要で融資は断る旨を伝えても、申し込みをした際の勤務先や緊急連絡先に1日に10回を超える督促の電話があり、仕方なくお金を支払ってしまたった。

その後、司法書士に依頼し受任通知を送付するまで、週単位での利息を支払続けてしまった。

これらの事例からもわかるように、

闇金による押し貸しの手口は、無断で口座にお金を振り込み、後から不当な利息や手数料を請求することが特徴です。

被害に気づいた際には、脅しに屈することなく適切な対応をとることが重要です。

また、個人情報の漏洩を防ぐための対策として、不審な振込みがあった場合はすぐに銀行に報告し、場合によっては警察などに相談することも必要です。

これって押し貸し?被害を見分ける方法と対処法

押し貸し被害の事例を読んでいただけると、わかるかと思いますが、闇金の押し貸しの手口には特徴があります。

手口の特徴を把握して、被害にいち早く気がつき適切な対応をとることで、押し貸しの被害を最小限に防ぐことが可能です。

ここでは押し貸しの手口の特徴をまとめ上で、被害に気がついた時の適切な対応方法を解説してきます

押し貸しが疑われる特徴

下記の場合、押し貸しが被害が強く疑われる状況です。

無断での口座振込

身に覚えのない金額が口座に振り込まれている場合で、特に出元がわからない場合は注意が必要です。

身に覚えのない会社名から小額の振り込みがあった場合は押し貸しが疑われます。

法外な利息請求を請求される

契約していないにも関わらず法定利息を超えるる利息を請求される場合は、闇金による押し貸しです。

脅迫や嫌がらせ

返済を迫る際に、脅迫めいた言動や家族への連絡、職場への訪問などの嫌がらせが伴う場合、闇金による典型的な手口です。

押し貸し被害を疑われる時の適切な対応

もし、上記のような押し貸しが疑われる事象が確認できた場合、適切な対応をしないことで、甚大な被害につながることがあります。

押し貸しは適切な対応をとることで、被害を防ぐことができる犯罪です。

気がついた時の適切な対応方法について解説していきます。

口座の確認と明細等の保管:

無断で振り込まれた場合(身に覚えのない振り込みがあった場合)、必ず明細を残すようにします。

ネットバンクであれば入出金証明書、ネットバンクでなければ通帳を記帳して保管します。

銀行への連絡:

銀行に連絡し、身に覚えがないことを報告し、内容の詳細を確認してもらいます。

身近な人からの振り込みであったり、ネットサービスからの返金など、身に覚えがなくても押し貸しでない可能性もゼロではありません。

詳細を確認して、それでもわからない場合は銀行にその旨を伝えます。

警察への届出:

無断で振り込まれて、「法外な利息請求を請求される」「脅迫や嫌がらせ」に発展している場合は、最寄りの警察に相談してください。

ただ「身に覚えの振り込みがあった」というだけでは警察に相談をしても警察は動いてくれることはありません。警察への相談は実害が出ているタイミングが有効です

闇金に対応可能な司法書士や弁護士への相談:

闇金問題の解決は、闇金問題に強い弁護士や司法書士に相談することが、解決への1番の近道です。

身に覚えのない振り込みがあり、闇金から催促の電話があったら、闇金問題を取り扱う司法書士や弁護士に相談しましょう。

昨今では闇金への取り締まりが厳しくなってきていますので、司法書士や弁護士が介入するとすぐに取り立ては止まります。

一人で悩み、闇金業者の脅しに屈して、借入を認め返済をしてしまうと闇金業者の思うツボです。

追加融資や法外な利息により、借金はすぐに膨れ上がっていきます。

闇金による押し貸しの被害を防ぐためには初動の対応が非常に大切です。上記を参考に適切な対応をとるようにしてください。

まとめ

本記事では、押し貸しとは何か、その手口の特徴や実際の被害事例について、そして被害にあった際の対応方法について具体的に解説してきました。

押し貸し被害を防ぐためには、銀行への確認や初動の対応が非常に重要になります。

闇金業者の悪質な嫌がらせなどに屈してしまうと、被害が拡大する傾向にあります。

また、自分で対応できない場合は弁護士や司法書士などの専門家に相談することも被害拡大を防ぐ上で非常に有効な手段になり得ます。

本記事を参考に、自分自身や身近な人々が安全で健常に過ごせるように、押し貸しのような悪質な犯罪に対しては適切に対応されてください。

の取り組み

アカルイミライを運営するイーライフ司法書士法人では、創業当初から闇金問題に取り組んできました。

闇金からの嫌がらせの解決や利息の返金交渉などに対する多くのノウハウを持っています。

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