相続に納税証明書は必要?提出を求められるケースと手続き方法を解説

相続の手続きで、納税証明書が必要になるケースがあります。

納税証明書とは、納付すべき金額や納付済みの金額、未納分の金額などを証明する書類です。

税金の種類は複数あり、その種類によって申請する方法が異なります。

相続時の状況によって、提出を求められる書類も違ってくるでしょう。

具体的にどのような場面で必要になり、どこに請求すればよいのでしょうか。

この記事では、納税証明書について必要なケースと手続き方法を解説します。

目次

相続で必要となる納税証明書とは

納税証明書

納付すべき税額や納付済みの税額、未納額などを証明する書類を納税証明書といいます。

対象となる税において、課税額と納付状況を証明する書類です。

税の種類ごとに、それぞれ証明書が存在します。

記載されている主な項目は、下記の通りです。

  • 納税義務者の住所・氏名
  • 税目
  • 年度
  • 納税すべき税額
  • 納付済みの税額
  • 未納額
  • 課税事務所

税金の種類によって、記載されている項目や交付の請求先は異なります。

税金には所得税や相続税などの国税と、住民税などの地方税があり、課税主体である国や地方公共団体からの取得が可能です。

国税の納税証明書の種類

大きく分けて以下の4種類があります。

  • 税額を証明するもの
  • 所得金額を証明するもの
  • 未納がない証明をするもの
  • 滞納処分を受けていない証明をするもの

取得する際には、どの証明書が必要なのか確認した上で手続きをしましょう。

税額を証明する

税額を証明する納税証明書とは、国税における納付すべき額、納付した額、未納額などを記載した書類です。

証明書には、具体的な納税額や納付状況が記載されています。

その内容は、国から課税されて納めなくてはならない税金の金額や、すでに納めた税金の金額、まだ納めていない税金の金額などです。

所得金額を証明する

所得金額を証明するもので、個人の場合では申告所得税と復興特別所得税に関係する所得金額についての証明書になります。

申告所得税とは所得税の種類で、確定申告で納税者みずから申告して納付した税金のことです。

復興特別所得税とは、東日本大震災からの復興施策をおこなうための税金で、令和19年までの所得について課税されます。

未納がない証明をする

これまでに税金の未納がないことを公的に証明する書類です。

納税証明書の「その3の2」では、申告所得税及び特別所得税と消費税及び地方消費税について、税の種類を指定して未納がない旨を証明できます。

「その3の3」は、法人税と消費税及び地方消費税についての証明書です。

滞納処分を受けていない証明をする

証明を受けようとする期間に、滞納処分を受けていない旨を証明します。

滞納や未納になっている税金がない旨を証明するわけではありません。

滞納処分とは、法に定められた納付期限まで、一定の期日までに納められなかった税金がある場合の処分です。

強制的に滞納分を徴収するために、不動産や預貯金、給料などの財産を差し押さえるといった手続きが実施されます。

相続で納税証明書の提出が求められるケース

相続時において被相続人に借金がある場合、借入金の名義変更する際に提出を求められる可能性があります。

また、相続税を支払うために金融機関から借入するときにも、提出が必要になる場合があるでしょう。

提出が求められるのは、税金を滞納していないかを確認して、対象者の信頼性を確かめるためです。

借入金を引き継ぐケースと、相続税の支払いで融資審査を受けるケースについて解説します。

被相続人の借入金の引き継ぎ

亡くなった被相続人の財産には、土地や建物などの不動産や預貯金といったプラスの財産だけではなく、借入金などのマイナスの財産も含まれます。

亡くなった被相続人に借入金があり、相続でその借入金を引き継ぐ場合には、金融機関から納税証明書の提出を求められるケースがあります。

このケースでは、被相続人と相続人の両方の納税証明書を求められる場合もあるので、誰に対しての証明書が必要なのか確認しておきましょう。

金融機関から融資を受ける場合、基本的に融資目的以外の用途に借入金を使用するのは禁止されています。

税金の滞納があった場合、融資目的ではない税金の支払いに、借入金が使われるリスクがあるでしょう。

そのリスクを回避するために、滞納した税金の有無を確認していると考えられます。

相続税の支払いでの融資審査

相続の際に、手持ちの資金で相続税が支払えず、金融機関から融資を受けるケースがあります。

相続する財産によっては相続税が高額になり、支払いが難しい場合もあるでしょう。

遺産を現金化して相続税が支払えればよいのですが、不動産などすぐに現金化するのが難しい財産もあります。

相続税の納付期限は、原則として相続が発生した翌日から10ヵ月以内です。

納付期限を過ぎても支払いがなければ、加算税や延滞税が発生する恐れがあります。

負担がさらに増えるのを避けようとして、金融機関からの借入金で相続税を支払いたいと考える人もいるでしょう。

融資を受ける際に金融機関から納税証明書の提出が求められるのは、借入を申し込む人が期限を守って返済できるかの信用調査のためです。

納税証明書を請求する窓口

国税の場合は税務署の窓口、地方税の場合は都道府県税を担当する事務所や、市区町村の担当窓口で請求できます。

取り寄せるときには、税金の種類に応じた窓口で請求する必要があります。

税務署で発行できるのは、所得税に関する納税証明書です。

地方税には都道府県に納める都道府県税と、市町村に納める市町村税の2種類があります。

都道府県税の場合の請求先は、都道府県税を担当する事務所の窓口です。

管轄地域にかかわらず請求できる場合もあるので、事前に確認するとよいでしょう。

受付はできても交付までに時間がかかる可能性もあるので、期限がある場合は注意が必要です。

市町村税の場合には、市役所や区役所、町村役場の税務課など、税務を担当する窓口で手続きできます。

自治体によっては、支所や出張所での請求も可能です。

相続で納税証明書を請求する方法

国税の納税証明書は、税務署の窓口や、郵送オンラインで請求できます。

都道府県税の場合は県税事務所などの窓口か郵送になりますが、自治体によってはオンラインでの請求も可能です。

市町村税の場合は、原則として市区町村の担当窓口か郵送での請求になります。

オンラインでの請求が可能な自治体もあるので、事前に確認するとよいでしょう。

郵送で納税証明書を請求する場合

郵送で請求する際に、同封する必要があるのは基本的に以下の通りです。

  • 記入済みの納税証明書交付請求書
  • 手数料と同額の収入印紙(地方税の場合は定額小為替など)
  • 切手を貼った返信用封筒
  • マイナンバー確認書類の写し
  • 個人の場合は、申請者の本人確認書類の写し

納税証明書は、同封した返信用の封筒で届きます。

郵送での請求の場合は、手元に届くまで時間がかかるので、余裕をもって申請する必要があるでしょう。

オンラインで請求する場合

オンラインで請求して、郵送での取得が可能です。

電子証明書と電子署名を添付してe-Taxで請求すれば郵送で届きます。

手数料と送料を納付するのに、インターネットバンキングなどでのオンライン決済が必要です。

e-Taxで交付請求すると、電子ファイルでダウンロードできます。

オンラインで交付請求する場合でも、税務署の窓口での受け取りを選択可能です。

窓口で受け取る場合には本人の証明となる電子証明書は不要ですが、本人確認書類やマイナンバー確認書類、手数料などが必要になるので注意しましょう。

相続で納税証明書を請求するときの注意点

納税証明書を請求する際には、税の種類によって請求先が違うなどの注意点があります。

請求先によっては必要書類が異なる場合があるので、確認が必要です。

また、納税者本人ではなく、相続人が申請する場合にも必要書類が変わってきます。

都道府県によって必要書類が異なる場合がある

都道府県税の納税証明書の請求については、県庁や府庁ではなく、県税事務所などの都道府県税を担当する事務所での申請が可能です。

請求に必要な書類は自治体ごとに異なる場合があります。

ほかに必要な書類がある可能性もあるので、事前に自治体に問い合わせておきましょう。

相続人が申請する場合

被相続人本人として、相続人が被相続人の納税証明書を請求できます。

その場合には下記の書類が必要です。

  • 納税証明申請書
  • 相続人の本人確認書類
  • 戸籍謄本などの相続人であると確認できる書類
  • 除籍謄本などの被相続人の死亡が確認できる書類

被相続人に関する書類も必要になるので、手続きする際には用意しておきましょう。

相続で納税証明書を用意するときは司法書士に相談するのがおすすめ

相続において納税証明書の提出を求められるケースがありますが、申請にはさまざまな書類が必要になるため、手間と時間がかかります。

司法書士に相談すれば、必要書類の資料収集や、そもそも納税証明書の提出が必要なのかの確認が可能です。

納税証明書の提出で必要書類の資料収集

税の種類によって必要な納税証明書が異なるため、申請先や必要な書類は一定ではありません。

申請するのに、どのような書類が必要なのか分かりにくい場合もあるでしょう。

書類に不備があった場合は、それだけ手続きに遅れが出て、期日に間に合わない恐れがあります。

専門家である司法書士に相談すれば、確実に必要書類の資料収集ができます。

納税証明書の提出が必要なのか確認できる

相続において、納税証明書の提出を必要とする人に該当していない場合があります。

手続きを進める上で不安に思う場合は、司法書士に相談するのもひとつの方法です。

相続が発生したときに納税証明書の必要な手続きがあるのかを確認できます。

まとめ

納税証明書とは、課税額や納付状況を証明する書類で、滞納の有無などを確認して信用調査として用いられる場合もあります。

税の種類ごとに納税証明書が存在し、記載内容や申請先も異なります。

申請には必要書類を複数そろえる必要があり、申請方法もいくつかあるため、手続きに不安な方もいるでしょう。

司法書士は相続における手続きの専門家なので、的確なアドバイスができます。

円滑に手続きを進めるために、司法書士に相談してみてください。

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