親の借金の発覚は社会人となった子どもにとって、まさに「寝耳に水」ではないでしょうか。
多くの場合、親のために債務整理をしたいと考えるかもしれません。
ここで問題なのは、親の借金の債務整理は子どもにできるかということです。
果たして、債務整理は親本人がするべきなのか子どもがするべきなのか、この記事でくわしく解説します。
この記事でわかることは?
- 親の借金は子供に支払い義務があるのか?
- 親の借金問題を子供が解決するための手段
- 親に借金があるか調べる方法
知っていれば怖くありません。
借金でお困りの方の参考になれば幸いです。
親が借金をしていた場合の債務整理は本人が対応
親の借金が発覚、そして全額返済できない状況であれば、親の日常生活のために債務整理することをおすすめします。
なぜなら、借金の減額、返済義務を免除できる手続きであり、債権者の催促や取り立てを止めることも可能だからです。
債務整理には、任意整理、個人再生、自己破産の3種類があり、借金の返済額を減額するのであれば、任意整理を選択することになります。
重要なのは、どの債務整理を選択したとしても子どもは親の借金を肩代わりする必要はなく、借金の返済義務はあくまで親にあるということです。
原則として、債務整理を実行できるのは借金の名義人とされているので、親の借金の債務整理を子どもがしたり、夫の借金の債務整理を妻がしたりはできません。
また、不当な取り立てを受けた親から返済の支援を要求されたとしても、名義人でない子どもには返済義務はないため応じる必要はありません。
借金をした親が債権者から「息子(娘)からお金を借りて借金を返済しろ」と迫られているのであれば、違法の可能性もあるので弁護士や司法書士などに相談しましょう。
親の借金を子どもが返済するのは可能

親の借金は親の名義で借金している以上、債務整理は親にしかできず、子どもにできることはここまでの説明のとおりです。
しかし、親の借金を子どもが返済することはできます。
その場合、免責的債務引受または併存的債務引受のいずれかを選択できます。
いずれも、基本的には親の借金の返済義務がないとしても、子どもが自発的に返済することはできるのです。
免責的債務引受
免責的債務引受とは、債務者(親)が背負っている債務を引受人(子)が負担するのと同時に、債務者が債務から免れる契約ないし手続きをいいます。
負債は本来、積極的財産と同じ割合で相続人に引き継がれますが、引受人の承諾が得られれば親が抱えていた負債を子が引き受けることが可能です。
つまり、債務者と引受人で免責的債務引受を決めたうえ、債権者に対してその旨を通知した時点で効果が生じることになります。
仮に親の借金を全額負担したが、家庭の事情で子が支払えなくなった場合、他の相続人に請求することはできません。
併存的債務引受
併存的債務引受とは、重畳的債務引受ともいわれており、債務者の債務を免脱することなく引受人が債務者の債務と同じものを引き受ける契約ないし手続きをいいます。
併存的債務引受の効果は、債権者・債務者・引受人の合意、債務者と引受人が契約を締結する、債務者と引受人が契約して債権者が承諾する、いずれかによって効果を生じさせることが可能です。
また、免責的債務引受のように債務者が契約関係から離脱せずに、引受人と一緒に連帯責任を負うため、両者に対して全額請求できます。
親の借金を子どもが支払うべきケース
親の借金は親の借金であり、親の名義であれば子どもに返済の義務はありません。
しかし、場合によっては親の借金を子どもが返済しなければならないこともあり得ます。
ここからは、親の借金を子どもが払わなければならないケースを解説します。
ここがポイント!
親の借金の返済義務が子どもにもあるパターンは3つ
- 親の借金の連帯保証人に子どもがなっている
- 親が亡くなって相続開始から3ヶ月が経過した場合
- 親が子の名義で借金をしてしまっている場合
順番に見ていきましょう
借金の保証人や連帯保証人が子ども
親の借金の保証人あるいは連帯保証人に子どもがなっていれば、親が借金の返済をできないときには子どもに借金の返済義務が発生します。
債務者が借金の契約どおりに返済できなくなったとき、債務者のかわりに借金の返済義務を負い、返済しなければならないのが保証人および連帯保証人です。
保証人は、債務者が財産を差し押さえられても返済しきれないときに返済義務を負います。
これに対し、連帯保証人は自分自身が借金をしているのと同等の責任を負っており、債務者の返済能力に関係なく、返済を要求された場合は全額を支払う義務があります。
つまり、保証人と比較してより重い責任が課せられており、実際には保証人ではなく連帯保証人となっているケースが多いでしょう。
親が亡くなって相続開始から3か月を経過
親が借金をしたまま死亡することもあるでしょう。
そして、親の死後、借金を抱えていた事実を子どもが知る場合も考えられます。
親の死後、発生するのが相続権です。
相続で引き継ぐのは財産ばかりではなく、親の借金もその対象になります。
相続を開始してからなんの手続きもせずに3ヶ月経過してしまうと、親の借金を子どもが返済しなければならなくなることもあるので注意が必要です。
もちろん適切な手続きをすることで、親の借金を放棄することも可能です。
こちらの記事で手続き方法などを詳しく解説しています。

親が子どもの名義を使ってお金を借り入れ
親が子どもの名義を使用して借金をしていれば、法律上は名義人となってしまった子どもに借金の返済義務が発生します。
親の経済状況や年齢などによっては、信用が得られず借金をしたりローンを組んだりできないために、子どもが名義人となることもあるかもしれません。
ただし、親が子供の了承を得ずに勝手に通帳や印鑑を使用して借金をした場合、民法第113条の無権代理に該当するため、子供の返済義務はありません。
早期対応するためにも、日ごろから親のお金の使い方について把握しておきましょう。
親が借金をしているときに子どもがするべき手順
親の借金を知ったとき、法律の範囲内で子どもにできることをまとめます。
親の借金はあくまで親の借金です。
子どもにできることは限られていると知ったうえで最善を尽くし、できる限り親が日常の生活を取り戻せるよう支えましょう。
借金の返済義務が無いことを理解する
親の借金の名義人が親である以上、返済の義務は実施であったとしても子どもにはないことは先の説明のとおりです。
これは親と子が離れて暮らしている場合だけではなく、同じ住居で生計を同一にしている場合も同様です。
したがって、借金の返済義務は名義人にあると理解したうえ、親の借金を子どもが返済するというような話はしないことが賢明です。
親に債務整理を勧める
借金を返済する親を支援するために子どもが仕送りをしたり、生活費を削ったりすることもあるでしょう。
しかし、これでは根本的な解決方法とはいえません。
親のために子どもができることは、債務整理をすすめることです。
債務整理をすれば、借金を減額あるいは免除できるので、返済の負担そのものを減らすことができます。
の取り組み
アカルイミライを運営するイーライフ司法書士法人は、借金問題を創業当時から取り扱い、様々な問題を解決してきました。
個々の様々なケースに最適な答えを持っています。
無料相談を常時、実施しております。
借金問題の無料相談の予約はこちらから

親の借金を未然に防ぐ方法
親の借金を未然に防ぐことができれば、債務整理をすることも生活を圧迫されることもありません。
しかし、親は子どもに知られないように借金することが多いものです。
そのうえで、親の借金を見過ごさないために子どもができることを説明します。
親との話し合いをする
親との会話不足は借金の発覚を遅らせかねません。
気が付いたときには親の借金が膨れあがり、子どももなす術なく自己破産をすすめるしかない状況に陥ってしまう可能性もあります。
まずは、普段からこまめに連絡を取ったり会って話す時間を作ったり、生活の状況を聞き出しやすい関係を作りましょう。
世間話のように生活の状況を聞き取ることができれば、生活に困窮している様子が見えてくるかもしれません。
親からしても普段から話していれば、子どもに借金の相談をしやすいものです。
借金を抱え込む前に適切なアドバイスもできるでしょう。
郵便物を定期的に確認する
親と子どもが生活をともにしている場合は、郵便物の差出人を確認しておくようにしましょう。
個人宛の郵便物を確認することは気が引けますが、借金の返済を求める督促状が紛れている場合があります。
郵便物に金融機関からのものが紛れており、なおかつ親宛であればすぐに本人に確認しましょう。
信用情報機関に開示請求をする
子どもであれば、信用情報機関に開示請求することで、親の借金の有無を確認できる場合があります。
信用情報とはいわゆる「ブラックリスト」のことです。
信用情報機関は、CIC(シー・アイ・シー)、JICC(日本信用情報機構)、KSC(全国銀行個人信用情報センター)の3機関があります。
機関によって違いはありますが、インターネットや郵送などで情報の開示を求めることが可能です。
ただし、親の承認がなくては情報開示請求できない点には留意しておかなければなりません。
なお、親が死亡している場合は、法定相続人であることを条件に情報開示請求ができます。
登記情報提供サービスで抵当権を調べる
親が土地または建物を所有しているのであれば、抵当権の内容を確認することで借金の有無を確認できます。
そのために利用するのが登記情報提供サービスです。
インターネットから登記情報提供サービスにアクセスし、登記・供託オンライン申請システムから簡単に登記情報を調べられます。
その結果、抵当権が現存しているのであれば高確率で借金があるといえるでしょう。
すぐに親に確認することをおすすめします。
まとめ
今回は親の借金について、子どもの返済義務や債務整理は誰がするべきかを解説しました。
親の借金の名義人が親である以上、子どもにはいっさい返済義務はありません。
だからこそ、常日頃から親の借金を防いだり、早期に把握できるよう対策したりしておくことも重要です。
そして、万が一親の借金を知ったときには、親に債務整理を促して借金の負担を軽減するよう働きかけましょう。
親の借金のため仕送りをしたり生活費を削ったりすることは、親の生活も子どもの生活も破綻させてしまいかねません。
もしも、親の借金でお困りの場合は司法書士事務所へのいち早い相談をおすすめします。