相続にはさまざまな種類がありますが、中でも不動産の相続は厄介です。
相続人の間で分割しにくく、所有すると維持費も発生します。
遺産分割の方法が分からない、親族間のトラブルで遺産相続が上手くいかないなど、相続問題で悩んでいる人もいるでしょう。
この記事では目的に合った相談先と、司法書士に相談すべき理由を解説します。
相続の相談ができる専門家6選
多くの人が悩むのは、相続の相談先です。
相談先として、弁護士や司法書士、税理士や行政書士、銀行や市役所も対応します。
対応してもらえるケースや相談内容が異なるため、相談したい内容にあった相談先を選びましょう。
こちらでは、6つの専門家と相談できる内容について解説します。
1.弁護士
弁護士は法的トラブルの専門家です。
相続人同士で遺産問題を話し合っても解決しない時や、相手が遺産を隠している可能性がある場合は弁護士に代理人となってもらい、話し合いをします。
本記事で紹介する6つの専門家の中でも、依頼者の代理人となって活動できるのは弁護士のみです。
遺産分割協議のほかに、遺産分割調停や遺産分割審判でも代理を依頼できます。
弁護士に依頼するときは、基本的に争族という争いごとが起こる時です。
話し合いが上手くいかず、遺産分割調停や審判になった際は、裁判所へ足を運んで正式に弁護士に依頼する手続きを取ります。
最初から争うことが予期できた際は、あらかじめ弁護士に相談して代理人として入ってもらうのが最適です。
そのまま裁判手続きも引き受けてくれるため、無駄な労力や時間を使わずに済みます。
2.税理士
相続をするにあたって、生じるのは相続税です。
この相続税は税理士にしか依頼できないことがあり、相続人がいれば3,600万円超えの遺産があった際は相続税の申告をします。
相続税には基礎控除が認められており、この基礎控除で3,600万円以下になった時は申告が必要ありません。
基礎控除の計算方法は「3,000万円+法定相続人数×600万円」です。
例えば、配偶者と子ども2人が相続人になったとします。
その場合の計算方法は「3,000+600×3=4,800万円」です。
つまり、4,800万円までは相続税が発生しません。
しかし、小規模宅地には注意が必要です。
小規模宅地の特例は、相続税申告をすることで初めて適用されます。
特例を使わずに基礎控除額を超えているなら、税理士に申告をしましょう。
3.司法書士
司法書士は相続手続きをする中でも重要な、不動産登記の名義変更ができる専門家です。
相続が発生した場合、全体の50%は不動産の相続が発生します。
相続手続きには、相続人の調査や相続財産の調査を行いますが、自分で調査をするには平日に市役所へ行かなければいけません。
時間と労力がかかるうえ、書類の不備があれば手続きに時間がかかります。
そこで司法書士に依頼すれば、自分の代わりに必要書類を揃えてくれるため、手続きの時間と手間が省けるでしょう。
また、司法書士に依頼することで相談者にあった必要な手続きを案内します。
例えば相続人に未成年者や認知症の人がいた場合は、代理人や後見人がいなければ遺産分割協議ができません。
代理人を立てる際の裁判所への手続きも、司法書士が行います。
4.行政書士
行政書士とは、官公署に提出する書類や権利義務に関する書類、事実証明に関する書類の作成や提出を行う専門家です。
相続に関しては遺言書の作成や相続人の調査、遺言内容の執行や遺産分割協議書の作成、預貯金・有価証券・自動車の相続手続きも行政書士が行えます。
行政書士は多くの相続業務に携われますが、一方で関与できない業務もあり、仮にその仕事を行うと違法扱いされる可能性が高いです。
例えば相続人同士のトラブルや交渉、遺言や遺産分割協議の内容など法律に関する仕事はできません。
不動産の相続登記は法務局を介して行うので、司法書士もしくは弁護士しかできず、相続税の申告や純確定申告は税理士の独占業務です。
これらは各専門家が決めているため、依頼をする際は注意をしてください。
5.銀行
銀行は士業のように業務を行わず、主に各士業と専門家に橋渡しをする役目を担います。
遺産分割協議書の作成、税申告、不動産登記は各士業が対応しますが、銀行は事業の幅も広いため、相続に関するサポートが可能です。
法定相続人の調査や相続財産の調査、遺産分割協議や不動産名義変更のアドバイスなどを行います。
銀行に相談するメリットは、専門家を探す手間が省けるところです。
相続が発生すると、限られた期限の中で多くの手続きをしなければなりません。
あらかじめ銀行に相談すれば、自分で適切な専門家を探す手間が省けます。
そして、銀行が強みとしているのは信託です。
財産管理ができない高齢者や年少者のために財産の管理や継承する際に利用できます。
6.市や区役所
いきなり専門家に相談するのではなく、まずは気軽に相談したい人は市や区役所にある相続相談窓口を利用する手段があります。
相続相談窓口では、遺産相続の方法など相続全般の相談や遺産相続による親族争いの解決方法、相続によって発生した相続登記の相談などを請け負うことが多いです。
だたし、法律トラブルの直接的な解決や相続手続きの代行など、直接的な解決はできません。
直接的な問題の解決をしたい人は、弁護士や司法書士など各専門家へ相談しましょう。
司法書士に依頼をした方が良いケース
相続をするには様々な書類や手続きが必要です。
自分で相続手続きを行えますが、高い専門知識が必要なため、時間と労力を消費します。
相続の手続きで悩んだ人は、司法書士に相談しましょう。
こちらでは、司法書士に依頼したほうが良いケースを3つ解説します。
手続きに時間を取れないとき
相続手続きを行うには、相続人の調査と財産の調査を行います。
相続人の調査とは、誰が相続人となっているのか把握するための調査です。
相続人が配偶者と子供だけなら自分で行えますが、元配偶者との間に子供がいる場合は自分で調査が難しいでしょう。
相続財産の調査とは、相続をするうえで財産をきちんと把握する必要があります。
相続をしっかり把握しないまま遺産分割協議を行うと、後で相続人同士が揉める可能性が高いでしょう。
財産を知るためには銀行や市役所、証券へ行き、預貯金や不動産、証券を把握しなければいけません。
相続人の調査や相続財産の調査は、慣れていなければ精神的に消耗します。
司法書士に任せることで、時間と労力をかけずに手続きを進められるでしょう。
まとめて手続きを行いたいとき
相続できる不動産が1件なら手続きも自分でできる可能性がありますが、他県に複数の不動産を持っている場合は自分で手続きを行うのは困難です。
司法書士は相続に関する専門家のため、情報収集が早く自分で行うよりも多くの資料をスピーディに収集できます。
物件が他県にある人は、司法書士に相談しましょう。
他にも色んな業務を依頼したい時は、まとめて手続きが行えるため、何度も事務所に足を運ぶ必要はありません。
必要な手続きをサポートしてほしいとき
司法書士は書類の代行だけではなく、必要な手続きをサポートします。
例えば遺言書が見つかると、勝手に開封すると5万円以下の過料がかせられるため注意が必要です。
見つけた際は開封せず、家庭裁判所に提出して検認の手続きをしてください。
この手続きまでの業務を司法書士が行います。
他にも、相続人に未成年者や認知症がいる場合は代理人が必要ですが、その代理人を立てる際、裁判所への手続きも司法書士が相談者の代わりに行うことが可能です。
相続問題に詳しい司法書士へ依頼する
司法書士の業務は遺産相続だけではありません。
不動産登記や商業登記、官公庁に提出する書類の代行、供託手続きなど様々な業務をこなします。
しかし、全ての司法書士が遺産相続手続きが得意ではありません。
中には登記が得意な司法書士もおり、得意分野以外の業務を任せた場合、手続きまでに時間を要するケースがあるでしょう。
各司法書士事務所のホームページには、それぞれどんな業務を任せられるのか掲載されています。
依頼する前にはホームページを確認し、相続登記が得意な司法書士に依頼しましょう。
依頼料で注意すべきポイント
司法書士に依頼をする際、多くの人が気になるのが依頼料です。
依頼をしてみたが、思った以上にお金がかかってしまったケースもあるでしょう。
こちらでは司法書士に依頼する際、この依頼料に関して注意するポイントを解説します。
報酬以外に実費がかかる
司法書士に依頼をした際に生じるのが依頼料ですが、報酬以外にも実費がかかります。
■相続を司法書士に依頼した際の報酬以外の実費
- 相続に必要な書類は戸籍謄本(1通450円)
- 除籍謄本(1通750円)
- 改製原戸籍謄本(1通750円)
- 住民票(200円~400円)
- 遺産分割協議書作成費用(5万円〜10万円)
依頼料以外にも、これだけの実費が必要です。
司法書士事務所によっては、必要書類の収集や提出をする際にかかる交通費を請求するところもあり、報酬以外にもたくさんの実費がかかります。
依頼料が明瞭ではない
司法書士事務所を選ぶ際、依頼料が明瞭化されている事務所を選びましょう。
何にいくらかかるのか情報が把握できない場合、後の請求で高額な依頼料を求めてくる司法書士もいます。
依頼料に納得ができなければ話し合いになりますが、納得できなければ最終的に裁判所で争う可能性も高いでしょう。
依頼する前にホームページをチェックし、費用体系が掲示してあるか、複雑すぎて理解できないような費用体制になっていないか確認してください。
アフターケアがされていない
司法書士が関わる業務は難しく、すぐに理解するのは難しいです。
「以前話を聞いたけど、もう一度聞いてみたい」ということもあるでしょう。
司法書士に依頼する際、このアフターケアがされている事務所を見極めることがポイントです。
アフターケアがされていない場合、同じ質問をする際にまた依頼料が発生する可能性もあるでしょう。
しかしアフターサービスがされているところは、案件が終わった後も丁寧にサポートします。
中には無料で、同じ質問を理解するまで答えてくれる司法書士もいるので、依頼する際はこのアフターサービスにも着目しましょう。
まとめ
相続の相談先は複数あり、対応できる業務も異なるため、どこに相談していいのか迷う人もいるでしょう。
イーライフ司法書士法人は、相談者の代わりに必要な書類作成や手続きのサポートを行います。
どこに相談していいのか迷っている人は、ぜひイーライフ司法書士法人に相談してみてください。