購入したり相続したりして不動産を手に入れた際に、登記について考える人は多いでしょう。
不動産登記とは、不動産の所有者が誰であるのかをはっきりさせることを指します。
しかし、登記には登録免許税という税金がかかり、更に手続きを専門家に依頼するとなると出費がかさむというのは気になる点です。
登記にかかる費用を抑えたいとなると、カットしたいのは専門家への依頼費でしょう。
不動産登記は専門家の力を借りずに自力で行えるものなのでしょうか。
本記事では、自分で不動産登記をする際の流れや、自力で行うことへのメリット・デメリットなどを解説しています。
不動産登記について詳しく知りたい、費用を抑えて登記を済ませたいと考えている方は参考にしてみてください。
自分で登記をする際の流れ
専門家の力を借りずに不動産登記を行う際は、必要書類を集めるところから権利証の受け取りまですべて自分で行う必要があります。
重要なのは、大まかな流れを把握して必要なものをしかるべきタイミングまでに用意しておくことです。
こちらでは、自分で不動産登記をする際の流れを解説します。
必要書類を集める
申請書は法務局のホームページからダウンロードできるので、印刷して必要事項を記入しましょう。
記入漏れがあったり足りない書類があったりすると、手続きが遅れて手間が増えるので、記載例を見ながら丁寧に項目を埋めるのが重要です。
申請書以外に必要な書類は不動産登記の種類によって異なります。
※それぞれの必要書類についてはこちらの記事で詳しく解説しています
売主か買主かによっても必要な書類は全く違うので、自分はどの書類を集めるべきなのかをリスト化しておくと便利です。
一般的には売主は権利証・印鑑証明書・評価証明書等、買主は住民票等が必要とされています。
書類はすぐに取り寄せられるものばかりではないので、ある程度のスケジュールを立てて事前に準備しておくのがお勧めです。
法務局に提出
必要書類が全て揃ったら、登記したい不動産を管轄している法務局に提出しに行きます。
自分の住んでいる地域ではなく、登記したい不動産のある地域の法務局に足を運ぶ必要があるので遠方の人は注意が必要です。
法務局によってルールや混み具合が違うので、事前に電話で確認してから行くのをお勧めします。
書類が全て揃っていないと手続きを始められないので、記入漏れや渡し忘れがないかチェックしましょう。
不安な箇所があればその場で聞けるように、付箋などを貼っておくと安心です。
登記簿に記載
法務局に必要書類を提出すると、審査が始まります。
基本的には不動産登記の審査は形式的なものだと言われているので、正しいやり方をしていればそこまで心配する必要はありません。
登記できるのは不動産所有者本人か、その代理人と法律で決められているので、登記官がそうではない者からの申請かもしれないと判断した時は本人確認が入ります。
審査の結果特に問題ないと判断されれば、約1週間〜10日ほどで登記簿に記載されるでしょう。
登記識別情報通知書(権利証)の発行
登記簿への記載が完了したら、権利証が発行されるので法務局に受け取りに行きます。
万が一権利証・登記識別情報を紛失してしまった場合、法務局でも再発行の手続きはできないので、慎重に保管するようにしましょう。
受け取りの期限は、登記の完了から3ヶ月以内と定められています。
せっかく手間と時間をかけて不動産登記を行っても、権利証がないと意味をなさないので、受け取りは忘れないようにしましょう。
登記の必要性
不動産登記は現時点では義務ではありませんが、2024年4月から手続きが義務化されることが決定しました。
これからは不動産が手に入ってから一定の期間内に、登記をしなければ罰則を課せられる可能性があります。
国が不動産登記を義務化したのは、登記が確実に必要だと判断した証拠です。
こちらでは、なぜ不動産登記の手続きが必要なのかを詳しく解説します。
権利を主張できる
登記とは、ものの権利を明らかにすることです。
つまり、不動産登記をすると、不動産に対しての所有権を第三者に主張できるようになります。
例えば同じ不動産をAとBの2人に譲渡したと仮定しましょう。
Aは不動産登記の手続きをして、Bはしていなかった場合、仮にBが先に引っ越して住み始めたとしても、Aは不動産を自分のものだと主張できます。
大切なのは「実際に誰が住んでいるか」ではなく、「登記上の所有者は誰になっているか」ということです。
手に入った時点で不動産登記をしておけば、所有権を争うようなトラブルになるリスクも下げられます。
売却や賃貸がスムーズに行える
法律上では、登記していない不動産の売却や賃貸は禁止されていません。
しかし、法律の上では可能であっても、登記をしていない不動産は買い手も借り手もなかなか見つからないのでほぼ不可能と言っていいでしょう。
理由は、正式に誰が所有しているかわからない物件は誰も安心して買えないし、仲介業者も賃貸として顧客に勧めることができないからです。
事前に不動産登記をしておけば、売却や賃貸をスピーディーに行えて、取引相手にも安心してもらえます。
不動産を担保に融資を受けられる
基本的に登記済みの不動産でないと、融資の際の担保としては認められません。
融資というのは受ける側の信用の上で成り立つものであり、正式に所有権を有しているか不明な不動産を担保にお金を受け取るのは難しいのが現状です。
仮に登記済みの土地を担保に住宅ローンを組めたとしても、土地の上に未登記の不動産があると担保価値は大きく減少してしまいます。
土地を登記して満足せずに、所有権が自分にある不動産は全て登記しておきましょう。
自分で登記するメリット
不動産登記は、専門家の力を借りずに自力で行えます。
自分で登記をすると司法書士に依頼せずに手続きを行えて、スムーズにできれば費用面や作業面などを心配する必要がありません。
こちらでは、自分で不動産登記をするメリットについて解説します。
費用を抑えられる
自分で不動産登記を行えば、専門家への依頼費を抑えられます。
依頼費の相場はおおよそ5〜10万円と言われているので、それだけの費用を節約できるのは大きな魅力と言えるでしょう。
しかし、法務局に行く際の交通費や書類を取り寄せる費用、申請書の印刷代などは全て自己負担となるので注意が必要です。
所有している不動産についての理解が深まる
自分で手続きを行うことで、登記した不動産の情報がより頭に入りやすくなるでしょう。
手続きの中で、不動産の情報などを記載する場面がいくつもあります。
自ら情報を記載したり、ある程度の知識を身に付けたりする中で、不動産への所有意識が芽生えて何かトラブルなどが起きた時でも、対応がしやすくなるでしょう。
自分で登記するデメリット
不動産登記は自力で行える手続きではありますが、デメリットもあることは念頭に置いておくべきです。
自分で行うことで、かえって手間が増えてしまったり、ストレスが溜まってしまったりする場面もあります。
こちらでは、自分で不動産登記をするデメリットについて順番に見ていきましょう。
集めるべき必要書類が多い
専門家にお願いしないとなると、全ての必要書類を自分で揃える必要があります。
必要書類は登記の種類によって異なり、自分に該当する書類がどれなのかを見つけるのが大変です。
書類は多岐にわたり、管轄の法務局によって様式が違うので、疑問点は逐一確認する必要があります。
申請書は法務局からダウンロードできますが、書き方や時数などに細かいルールがあるので調べながら記載しなければなりません。
書類集めという最初の段階で心が折れて、不動産登記自体が嫌になってしまう可能性もあります。
誤りがあると時間がかかる
専門家に頼らずに自分で行うとなると、たとえ書類に不備があっても気が付けません。
わざわざ法務局に足を運んで提出しに行って、後日再提出依頼がきて、また出しに行くとなるとかなり時間と労力を要します。
登記の種類によっては期限があるものもあるので、期限切れにならないように注意が必要です。
会社を休まなければならない
書類を提出しに行ったり問い合わせしたりするのは、法務局の開いている平日の決まった時間にしかできません。
職種によっては、申請に行くために仕事を休まなければならない場合もあるでしょう。
手続きに費やした時間を労働時間として計算すると、結果的に専門家に依頼した方が安価だったと後悔する可能性もあります。
思わぬトラブルに見舞われることがある
自力で登記をしようとすると、どうしても専門家に依頼した場合に比べて時間がかかってしまいます。
手続きに手間取っている間に、思いもしなかったトラブルに見舞われることがあるので注意が必要です。
登記をしていない状態だと前所有者の名義になっているので、名義人に土地を担保にお金を借りられてしまう危険性があります。
いくら自分の土地だと主張したところで登記上の名義が優先されるので、登記をしない限り名義人の言動を防ぐ方法はありません。
また、被相続人の債権者に土地を差し押さえられてしまうこともあるので注意が必要です。
まとめ
不動産登記は自力で行うことは可能ですが、より確実な手続きを求めるなら専門家に依頼するのも1つの方法です。
自分で行うと、労力や時間がかかってしまいます。
複雑な手続きのことを考えるのは抵抗がある、より正確でスピーディーな登記を行いたいという人は、司法書士などの専門家に依頼しましょう。
イーライフ司法書士法人に任せれば、不動産登記について最短でお手続きが可能です。
経験豊富な司法書士が多数在籍していますので、1人ひとりに合ったサポート体制が整っています。
費用について心配な方は、相談しながら調整できます。
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