債務整理の費用を払えないとき分割払いできる?費用相場と問題点も解説

債務整理の費用を払えないとき分割払いできる?費用相場と問題点も解説

債務整理を考えていると、弁護士や司法書士といった専門家に相談すると高額な費用がかからないかと心配になるでしょう。

債務整理でかかった費用は、分割払いで支払える場合があります。

そのため、手元に大きな資金がなくても債務整理で借金の減額や免除を諦めることはありません。

そこで本記事では、債務整理にかかる費用の目安と分割払いにしたときの注意点について解説します。

この記事でわかることは?

  • 債務整理の費用相場について
  • 債務整理の費用を分割払いで払った時の支払い目安

債務整理をお考えの方の参考になれば幸いです。

目次

債務整理とは?

債務整理とは、借金や毎月の返済額の減額、支払猶予、免除などの法的手続きのことで、任意整理、個人再生、自己破産の3種類があります。

任意整理は、債権者と交渉し今後の利息のカットや返済期間の延長などをする手続きで、比較的短期間、かつ費用もかからず手続きができることが多いです。

個人再生は、元金を含めた借金の総額を減らす手続きで、最大で借金の90%を減額できます。

ただし、裁判所を介して行う公的な手続きなので、利用するにはいくつかの条件があり、誰でも手続きできるわけではありません。

自己破産は、所有している自宅や自動車といったほとんどの財産を処分することになりますが、原則としてすべての借金を免除してもらえます。

債務整理の費用はどのくらい?

債務整理をするには費用がかかり、内訳は、相談料、着手金、報酬金、実費です。

任意整理、個人再生、自己破産の手続きごとにかかる費用は異なります。

特に報酬金は、債務整理の手続きが終わって借金が減額や免除されたときの成功報酬のため、減額や免除の金額が大きいほど支払う報酬金も大きくなる点に注意が必要です。

任意整理は5~15万円程

任意整理の場合は、債権者と弁護士や司法書士などの専門家がやり取りし、裁判所での手続きなどがないため、かかる費用は弁護士費用のみです。

弁護士費用しかかからないことから、費用の内訳は、相談料、着手金、報酬金、実費となります。

たとえば、2社から合計100万円を借り入れているケースの費用感は以下です。

2社から合計100万円を借り入れていて任意整理をするときの報酬の目安は?

  • 相談料:無料~5000円/30~60分など
  • 着手金:5万円×借入数2社=10万円
  • 報酬金:100万円のうち20万円が減額できた場合、20万円×成功報酬金10%=2万円
  • 実費:交通費など

合計:約15万円

なお、過払い金があると弁護士費用がプラスで発生するため注意が必要です。

個人再生は50~80万円程

個人再生は、裁判所に申し立てることで借金の元金から大きな減額が可能です。

そのため、かかる費用は、相談料、着手金、報酬金、実費に加えて裁判所費用がかかります。

弁護士や司法書士費用は、借入額が300万円のケースなら以下の費用感です。

■借入額が300万円で個人再生をするときの報酬の目安は?

  • 相談料:無料~1時間5,000円など
  • 着手金:約40~50万円
  • 報酬金:借入額300万円のうち、返済額100万円になった場合、200万円減額のため、200万円×成功報酬金10%=20万
  • 実費:交通費など

合計:約60万円~70万円

一方、裁判所費用には、予納金、収入印紙、切手、個人再生委員の報酬がかかります。

  • 予納金:弁護士申立て12,268円、本人申立て192,268円
  • 収入印紙:1万円
  • 切手:実費
  • 個人再生委員の報酬:15万円~25万円
  • 合計:約20万円~30万円

個人再生委員は、裁判所によって選任されるかどうか異なるため、それによって費用にも差が出ます。

自己破産は50~80万円程

自己破産の場合も、弁護士や司法書士費用として相談料、着手金、報酬金、実費がかかります。

借入額が1,000万円の場合は以下の通りです。

■借入額が1000万円で自己破産をするときの報酬の目安は?

  • 相談料:無料~1時間5000円 など
  • 着手金:約40~50万円
  • 報酬金:無料の場合が多い(高額な借金が免除されると依頼者の負担が大きいため)
  • 実費:交通費 など

合計:約40万円~50万円

加えて個人再生と同様に裁判所費用(予納金、収入印紙、切手)もかかり、差し押さえる財産の有無でも費用は大きく変わります。

  • 同時廃止事件:2万円~3万円
  • 少額管財事件:20万円~
  • 管財事件:70万円~

債務整理の費用は分割払いできる

債務整理の手続きをしたくても、「まとまった資金がないから費用が払えない」と一歩踏み出せない方もいるでしょう。

しかし、債務整理の費用は分割払いできるので問題ありません。

なお、弁護士や司法書士の費用は分割払いできても、裁判所の費用は分割払いができない点には注意してください。

弁護士・司法書士費用は分割できる

債務整理の弁護士や司法書士の費用は、分割での支払いが可能です。

借金の返済が日常生活に大きな負担をかけているため、債務整理の手続き費用を一括で支払うのは難しい方が多いです。

しかし、それでも多くの債務者が弁護士や司法書士に債務整理を依頼しています。

なぜ借金返済で苦しくても債務整理の手続き費用を払えるのかというと、分割での支払いができるからです。

専門家に債務整理の手続きを依頼すれば、約3か月で借金が減額でき、過払い金があれば取り戻し、返還されたお金を手続き費用に充当できる場合もあります。

そのため、依頼時にまとまった資金がなくても弁護士や司法書士に債務整理の手続きを依頼できます。

裁判所の費用は分割できない

弁護士や司法書士の費用は分割で支払えますが、裁判所の費用は分割できません。

任意整理なら裁判所を介しませんが、個人再生と自己破産は裁判所を介して行うため、一括で払う準備をしておく必要があります。

ただし、弁護士や司法書士の費用は分割で支払えることから、ある程度の負担は軽減できるでしょう。

なお、債務整理の手続きに法テラスを利用していて、かつ生活保護を受給中の方であれば、弁護士や司法書士の費用だけでなく裁判所費用も立て替えてもらえる場合があります。

※法テラスによる費用の立て替え制度は「法テラスのよくあるご質問>費用を建て替えてもらいたい」を参照ください。

立て替えてもらえるか心配なら、事前に確認しておくと安心です。

債務整理の費用を分割で支払う金額の目安

任意整理であれば、

債権者数によって費用が変わります。

債権者数が増えれば弁護士費用も増えますが、カットできる利息も増えて、完済までの利息が発生しません。

つまり、返済するのは元本だけです。

個人再生の場合は、

弁護士や司法書士の費用が60万円かかったとすると、12回の分割払いなら毎月5万円の返済になります。

借金は減額されるため、5万円に加えて減額された分の借金の返済が必要です。

自己破産であれば、

個人再生と同様に弁護士や司法書士の費用が60万円だとすると、やはり12回の分割払いで毎月5万円ずつ返済していきます。

個人再生とは異なり借金が免除されるため、支払うのは毎月の5万円のみです。

分割払いは12回までが多い

多くの弁護士や司法書士事務所では債務整理の手続き費用を分割で支払えます。

ただし、分割回数の上限は12回というところが多数です。

つまり、1年以内に債務整理の手続き費用の返済を求められます。

なお、1年というのは目安で、分割回数の上限は事務所や個々の事情によって異なるため、依頼する前に何回まで分割可能か確認しておきましょう。

なお、法テラスで債務整理の手続きを依頼すると、費用は毎月5,000円ずつ返済していきます。

借金の返済と債務整理の費用を払わなければいけない

自己破産は借金の返済がなくなりますが、任意整理と個人再生の場合は借金が残っているため、手続き後も毎月返済していかなければなりません。

つまり、債務整理の費用の分割払いと借金の返済という2つの支払いが生じるということです。

どちらも無理なく返済できるよう計画を立てなければなりませんが、債務整理の費用の返済と借金の返済を同時に支払うのが難しい場合もあるでしょう。

その場合は、先に弁護士や司法書士の費用を払い終わってから債務整理することもできるので、事前に相談しておくと安心です。

弁護士費用は司法書士費用より高額

もし、債務整理の手続き費用を抑えるのであれば、弁護士ではなく司法書士に依頼しましょう。

なぜなら、一般的に司法書士への依頼費用は弁護士よりも安いからです。

司法書士の債務整理の費用相場は、個人再生で約30〜40万円、自己破産なら約20~30万円で、弁護士と比べると約10~20万円ほど安くなっています。

ただし、司法書士が任意整理で扱える上限は、債権者1社につき140万円までと法律で決められているなど、弁護士と比べて司法書士ができることは限定的です。

もし1社でも140万円以上の借り入れがあるなら弁護士に依頼しなければなりませんが、そうでないなら司法書士へ依頼すれば費用を抑えられるでしょう。

債務整理の費用は後払い

債務整理(任意整理)の費用は、弁護士や司法書士に依頼した後から支払いを開始する後払いです。

依頼の面談の際に毎月の支払額と支払日が決まり、依頼した月かその翌月から支払いが始まり、手続きが終わるまで毎月支払いが生じます。

支払いは、分割払いの後払いとなるため、依頼時に費用を現金で準備しておく必要はありません。

弁護士や司法書士が依頼を受けると、債権者へ受任通知が発送されます。

その後は債権者への返済はストップするので、今まで返済していた分を債務整理の手続き費用に充てることで、弁護士や司法書士への支払いが可能です。

手元に現金が用意できないからといって債務整理を諦めず、毎月の借金返済で苦しむ前に弁護士や司法書士に相談してみましょう。

まとめ

債務整理にかかる費用は、任意整理、個人再生、自己破産のどの手続きをするかによって異なります。

借金の返済で生活が厳しい状況であれば、債務整理の費用を払うのは難しくても、分割払いができるため諦めることはありません。

司法書士は弁護士より安く依頼でき、事務所によってはzoom面談など柔軟に対応してもらえる場合もあります。

債務整理について困っているのであれば、まずは弁護士や司法書士へ相談してみましょう。

よかったらシェアしてね!
目次