不動産を所有したなどの理由で登記が必要になった場合、実際の手続きに入る前に流れを知っておきたい方が多いのではないしょうか。
登記は自分でも手続きができますが、申請書の作成や必要書類の準備などが大変です。
しかし、司法書士へ依頼すれば、書類集めから申請まで行ってもらえるので時間と手間がかかりません。
この記事では、司法書士に依頼した場合と自分で行った場合のそれぞれの登記手続きの流れや、司法書士に依頼するメリットなどを解説しています。
これから登記手続きを行う方は参考にしてみてください。
この記事でわかることは?
- 司法書士に依頼した場合の登記の流れ
- 自分で登記した場合の流れ
- 司法書士に依頼するメリットや依頼する際の注意点
司法書士による登記の流れ
司法書士へ登記手続きの依頼をした場合、どのような流れになるのでしょうか。
以下で相談から手続き完了までの流れを解説しています。
登記の相談をする
まずは、司法書士へ登記の相談をします。
司法書士へ依頼する内容はどのようなものかを、事前に明確にしておきましょう。
業務をすべて依頼したり、自分でできる限り準備して難しい作業だけを依頼したりすることも可能です。
必要な登記の種類と依頼内容を明確にすることで、必要な費用が分かりやすくなります。
無料相談を行っている事務所も多いので、複数の事務所で見積もってもらい、比較検討を行うのも良いでしょう。
依頼・費用を支払う
相談をして依頼する司法書士が決まったら、次は費用を支払います。
司法書士事務所や登記の内容によって異なりますが、相場は1~11万円程度です。
司法書士へ依頼する業務が少ないほど費用は安くなる傾向にあります。
また、相談時に必ず依頼しなければならないということはありません。
家でじっくり考えたり、無料相談で他の司法書士事務所と比較したりして依頼が後日になっても対応してもらえます。
納得のいく司法書士事務所へ依頼をしましょう。
書類にサイン
費用の支払いが終わったら、必要書類にサインや押印をします。
必要書類は、印鑑証明書などの本人しか取得できない書類以外は司法書士に用意してもらえるので、自分で用意する必要はありません。
そのため、登記に必要な書類のほとんどは司法書士で用意が可能です。
必要書類を作成する際には、司法書士と何回かやりとりをしなければならないこともあります。
やりとりが発生する場面もありますが、大変な必要書類の準備を任せられるので依頼者の負担は少ないでしょう。
司法書士が申請
登記に必要な書類への記入が完了し、すべての書類が揃ったら司法書士が法務局に申請を行ってくれます。
申請した書類は、申請内容の間違いや添付書類の不備、法律に違反していないかなどのチェックを登記官から受けなければなりません。
不備があれば再提出をしなければなりませんが、司法書士へ依頼した場合は再提出の可能性はほとんどないでしょう。
登記登録の完了・書類を受け取る
登記官のチェックにより、申請内容に不備がないと確認されたあとは、登記記録などに登記に必要な内容が記載されます。
最後に登記官が登記識別情報通知書を作成して、登記登録は完了です。
登録が完了したら、司法書士から返却書類や権利証(登記識別情報通知書)を受け取りましょう。
司法書士のなかには書類を郵送してくれるところもあるため、最初の相談のときに確認しておくと安心です。
自分で登記の手続きも可能
登記手続きを司法書士に依頼せず、自分ですべて行うことも可能です。
自分で登記申請を行う場合はどのような流れになるのか、以下で詳しく解説していきます。
申請書の作成と必要書類の準備
まず、登記の申請に必要な申請書の作成と必要書類を準備しましょう。
申請書の内容は、インターネットや本で雛型を参考に作成できます。
また、不動産を管轄している法務局の相談窓口では、申請書の記入方法や必要書類について聞くことも可能です。
必要書類は登記内容によって準備する書類が変わってくるので、事前に登記内容の確認をしておきましょう。
具体的には、不動産売買で行う所有権移転登記をするのであれば、売主と買主それぞれが書類を準備する必要があります。
そのため、自分での申請書の作成や必要書類の準備に不安がある場合は、法務局の相談窓口を利用すると良いでしょう。
法務局へ足を運ぶのは面倒ですが、自己流で申請書の作成をしたり必要書類が間違っていたりしたら何度も法務局へ行かなければならない可能性があります。
法務局へ提出
申請書の作成と必要書類が揃ったら、次は不動産を管轄している法務局へ提出しましょう。
提出方法は、直接窓口へ持っていくほかに、郵送も可能です。
申請する不動産の管轄地域外にある法務局へ提出しても、受け付けてもらえません。
必ず不動産を管轄している法務局に提出しましょう。
もし、管轄している法務局が分からないときは、法務局への確認が必要です。
登記官による審査
法務局に申請書を提出したら、窓口が申請書を受理します。
登記申請をした土地や建物の登記記録事項を、登記官が確認しなければなりません。
申請書の内容が法律に違反していないか・登記記録事項と内容が一致しているか・添付書類に不備がないかなどを、登記官が審査していきます。
新築などの登記申請の場合、職員が現地に行って確認したり周辺住民に現地の状況をヒアリングしたりすることもあるでしょう。
審査に申請内容や書類に不備が見つかったときは、法務局に出向いて修正を行わなければなりません。
登記官による審査で不備がないことが確認できると、登記記録などに必要事項が記入されます。
登記簿への記載
審査作業が確実に行われたのか、申請通りに間違いなく登記ができたかを登記官がもう一度確認を行います。
確認ができたら、登記官が識別番号登記記録に記録して登記は完了です。
権利証(登記識別情報通知書)の発行で手続き完了
識別番号登記記録の記録が終わったら、登記官が権利証の作成を行います。
法務局へ権利証を受け取りに行く際は、申請書に押印した印鑑を持参しましょう。
権利証の受け取り期間は、登記完了から3ヶ月以内なので、忘れずに受け取ってください。
また、権利証は今後登記をするときに必要になります。
紛失したり盗難にあったりしても、再発行はできないので大事に保管をしておきましょう。
自分で登記手続きをする場合、権利証を受け取るまでに何度か法務局を訪れなければなりません。
費用は最小限に抑えられるメリットもありますが、時間と労力を多く費やすことになるでしょう。
司法書士に登記手続きを依頼するメリット
登記は自分でも申請可能ですが、司法書士に登記手続きを依頼するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
それでは、以下で詳しく解説していきます。
確実に申請ができる
司法書士は登記手続きのプロなので、確実に申請が可能です。
司法書士へ依頼すると、登記に必要な登録免許税という税金のほかに報酬の支払いが発生します。
しかし、手続きを自分ですべて行う場合、申請書の作成をしたり何度も法務局に行ったりと手間と時間を費やすでしょう。
司法書士に依頼をすれば、数回のやりとりで登記手続きが完了します。
そのため、確実に申請ができて手間も時間もかからないとなれば、自分で手続きを行うより司法書士に依頼した方が精神的・肉体的に得られるメリットは大きいと言えるでしょう。
必要書類を用意してもらえる
司法書士は、職権を利用して戸籍や住民票の取得ができます。
印鑑証明書など本人しか取得できない書類も一部ありますが、登記に関わるほとんどの書類を司法書士は取得可能です。
そのため、書類用意のために自ら平日に何度も役所へ足を運ぶ必要はありません。
平日が仕事などで忙しい方は特に、司法書士に依頼してすべての手続きを終わらせた方が時間を有意義に使えるでしょう。
また、自分で書類を用意する場合、間違った書類を取得してしまう可能性もあります。
司法書士へ依頼することで、不要な書類の取得による無駄な出費を避けられるでしょう。
司法書士へ依頼する場合の注意点
司法書士に依頼すると、時間と手間をかけずに登記手続きを行えますが、注意点もあります。
以下で解説していますので、司法書士へ依頼する際の参考にしてみてください。
費用と日数の確認
最初の相談時に、登記手続きの費用と手続きにかかる日数を確認しておきましょう。
司法書士事務所によって費用は異なります。
そのため、複数の事務所へ無料相談に行き、見積もりを出すと良いでしょう。
また、司法書士が他の案件で手いっぱいの場合、日数がかかりすぎる可能性もあります。
特に急ぎで登記手続きをしたいときは、申請までどのくらいの日数がかかるのかを確認しておきましょう。
登記に強い司法書士を選ぶ
司法書士事務所のホームページを確認したり、不動産業者などから紹介してもらったりして登記に強い事務所を探しましょう。
ホームページには各事務所の得意な分野が記載されており、得意分野であると費用も低めのことが多いです。
登記に強い司法書士事務所をいくつかピックアップして、無料相談へ行きましょう。
不動産業者などからの場合は、提携している司法書士を紹介してもらえることが多いです。
費用は安くない場合が多いので、自分でも探して司法書士の人柄や費用を踏まえて依頼するのがベストでしょう。
まとめ
登記は自分で手続きも可能です。
しかし、申請書の作成や必要書類集めなど申請が完了するまでの手続きの流れは複雑で、時間や労力もかかります。
一方、司法書士へ依頼すれば必要書類の準備から申請まで行ってくれるので、面倒くさい手続きも自分で行うより早く終わらせられるでしょう。
登記手続きで悩んでいる方は、一度司法書士へ相談してみてはいかがでしょうか。