登記は自分で行えますが、専門的な要素が多いために調べたり書類を集めたりするのに時間がかかります。
司法書士に依頼するとスムーズに進みますが、費用面に不安があると迷っている方もいるでしょう。
専門家に依頼すれば難しい書類に戸惑わずスムーズに登記が行われます。
本記事では、登記を司法書士に依頼するメリット・デメリット、その際の費用について解説しています。
不動産を購入・相続予定の方は、参考にしてみてください。
この記事でわかることは?
- 登記を司法書士に依頼するメリットは
- 登記を司法書士に依頼する際の注意点や費用は
- 登記を司法書士に依頼した方が良い人はどんな人
司法書士に登記を依頼するメリット

司法書士は登記や信託、相続関連業務のプロで、不動産登記に関しても適切なアドバイスや業務の代理を進めてくれます。
登記を司法書士に依頼すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
手続きに時間がかからない
普段から、自分の土地や建物がどれくらいの坪数で、構造はどうなっているかを考えている方はいないでしょう。
登記はこれらを法的な形で記録し、所有者の権利が誰にあるのかを示すものです。
どんな権利を示すのかによって、登記の種類や必要書類、手順が異なります。
様々な書類を必要なだけ集め、確認しながら申請書に記入しなければならず、書き漏れや間違いがあれば登記ができなくなります。
登記のために、住所を管轄する法務局に出向く必要がありますが、必要書類を忘れてしまうと申請できません。
役所や法務局など、平日の決まった時間にしか申請ができない場所にいくには会社を休む必要があります。
委任状にて代理人に頼んだとしても、細かい修正などがあれば持ち帰り再提出となります。
専門的な知識がなければ、正確に記入できない場合も多いです。
このような複雑で面倒な手続きは、司法書士に依頼すると「書類に署名と捺印するだけ」で終わります。
登記申請が終わった連絡を待つだけですから、仕事を休む必要もありませんし時間がかかりません。
トラブルを未然に防ぐ
特に多いのが、相続登記をしなかったために相続人が増えてしまい、遺産分割協議を行ってからでなければ登記できないケースです。
また、私道の持分登記をし忘れていたために所有証明ができず、相続後の売却が難しくなるケースもあります。
登記申請の代行だけではなく、専門家として法律が関わるトラブルを未然に防ぐためのアドバイスを提案してくれるのが司法書士です。
不動産を遺産として相続する場合、登記以外に遺留分侵害請求の内容証明・遺産分割協議書の作成や相続放棄の手続きまでを代行します。
個人間ではトラブルになりがちな相続問題も、司法書士がいれば登記後でもアドバイスをもらえます。
印紙税を抑えられる
金銭のやり取りが記載されている契約書や領収書には印紙税がかかります。
不動産を購入した場合には
- 不動産売買契約書
- 建設工事請負契約書
- 金銭消費貸借契約書
領収書には印紙税がかかります。
司法書士に依頼すれば、印紙税4万円を抑えられますし、登記までが早くスムーズです。
もちろん、自分で登記を行うこともできますが、申請書の作成に時間もかかりますし手続きに進むまで時間がかかります。
マイナンバーカードがあればオンライン申請も可能ですが、電子証明書取得やソフトウェアのインストールなど事前準備が必要です。
住民票や戸籍謄本の写しなどは、電子文書で発行されていませんので、オンライン完結できません。
原本を登記所に郵送するなどの手間を考えると、やはり司法書士に依頼するのが正確で間違いありません。
司法書士に登記を依頼するデメリット
司法書士に登記を依頼すると、無駄な時間を使わずに済ませられます。
登記には税金などの費用がかかるだけでなく、司法書士に依頼するとプラスしてお金がかかります。
ここでは、登記を司法書士に依頼した時のデメリットを解説します。
依頼料が発生する
司法書士が登記を行うのは仕事ですから、当然ながら報酬が発生します。
登記の種類によって複雑さは異なりますので、依頼料にもばらつきがありますし司法書士によっては高額になります。
手続きにかかる費用だけでも、かなりの負担と感じる方もいますので、十分な比較検討をしたら、自分が頼みやすく信頼できる司法書士を選びましょう。
HPの記載事項に会社登記について詳しく載せられていたり、登記関係のコラムが多い司法書士事務所は登記に強い傾向にあります。
このような理由から、自分で司法書士を選ぶようにすると良いでしょう。
経理や税務に関する質問が難しい
不動産の権利を示す登記は、書類形式が定められているので、知識のない人が申請するのは難しいものです。
司法書士は、登記だけでなく訴訟・相続問題などに関する書類作成のプロですが、会社の経理や節税に関しては対応ができません。
法人登記の場合には、司法書士・税理士の資格を持った人材のいる事務所に依頼をするか、どちらも在籍する事務所を選びましょう。
登記の種類によっては税率が異なる
土地の売買や贈与で取得した場合にかかる税率は2.0%、相続なら0.4%など、登記の種類によって税率が異なります。
登記によっては一定の条件をクリアすると、軽減税率を受けられますので利用しましょう。
令和4年3月31日まで、建物の場合、新築物件の所有権保存登記では0.4%から0.15%、中古物件の所有権移転登記に関してはは2.0%から0.3%に税率が引き下げられます。
土地の所有権移転登記の登録免許税は、令和5年3月31日まで税率が1.5%になっています。
参考:国税庁「土地の売買や住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ」
司法書士に登記を依頼した際の費用について

司法書士に登記を依頼する際、どれくらいの費用がかかるのか内訳などを知りたい方もいるでしょう。
登記には登録免許税・謄本請求手数料・司法書士への報酬と、3つの費用が必要です。
登録免許税とは、登記に必要な税金で、固定資産税の評価額を基準にして計算します。
目安として、不動産販売価格のおよそ50%から70%が評価額になります。
登記を受ける際にの必要書類取り寄せや、書類に必要な収入印紙代などの実費はどの司法書士に頼んでも、ほぼ同じになるでしょう。
報酬ついては独自に決められており、登記の種類・難易度によって異なりますが数万円かかります。
費用が気になる方は、司法書士事務所に連絡をして見積もりを取ってください。
司法書士に登記を依頼する際の注意点
登記申請は自分で行うこともできますが、書き方や提出書類を調べたりして申請するのは大変ですし、時間がかかります。
登記のプロである司法書士に依頼すれば、早くだけでなく正確に登記が行われますが、いくつか注意したい点があります。
登記完了はすぐに終わらない
司法書士は依頼を受けた後すぐに、登記の準備を始めていきます。
書類を集めたり、法務局に出向いて手続きをしたり面倒な業務もすべて引き受けてくれます。
しかし、時期によっては依頼者が多く申請までに時間がかかってしまいます。
期限までに登記が申請されれば、刑罰を受けることはありませんので安心です。
必要であれば、どのくらいまでに申請できるか確認しておきましょう。
司法書士事務所までの距離を確認する
登記を依頼するには、無料相談から始まり見積もりを頼んでから、登記に必要な書類についてのやり取りが始まります。
数回は事務所へ行かなければなりませんので、会社や自宅から遠い司法書士事務所に依頼するのは現実的ではありません。
費用が安いからと、遠方の事務所に依頼して通っても、交通費を無駄に使ってしまいます。
依頼してしまえば、何度も事務所に出向くことはありませんが、万が一を考え、できるだけ会社から通いやすい司法事務所を探しましょう。
司法書士に依頼した方がいい人の特徴
司法書士は登記のプロですから、個人で行うよりもスムーズに早く手続きが終わります。
費用を抑えたい・信頼できる司法書士を探すのが大変なこともあるでしょう。
しかし、以下のような方は司法書士への依頼をおすすめします。
作業時間を確保できない人
仕事の都合で相続手続きを進めるのが難しく、時間が取れずに作業が途切れてしまう方は司法書士に依頼することをおすすめします。
役所や法務省は平日の決まった時間にしか開いていませんし、法務局までが自宅や会社から遠いと相談に行くだけでも大変です。
登記方法は法務局で教えてもらえますが、知識がないままに聞いてもわかりにくく、理解して申請するまでに時間がかかります。
法務局を訪れるのは、登記目的の方だけではありませんし役所と同じように順番を待たなければいけませんから滞在時間も長くなります。
休憩時間によって申請できるほど簡単ではないので、ストレスにも感じるでしょう。
書類の収集にしても、登記によっては自分以外のものが必要になるので、仕事と両立しながら進めるのは難しいものです。
司法書士に依頼すれば、すべて任せて仕事に集中できます。
一度で手続きを完了させたい人
登記が必要な不動産を複数所有している、遠方にあるために手続きが複雑で難しいケースもあります。
親の代以上から相続をすることになった方や、遺産分割協議を予定していて手続きが複雑になる場合には専門的なアドバイスが必要です。
遺産分割協議書の作成は正しくないと作り直しとなり、手間や負担も増えてスムーズにいかなくなります。
「期限まで時間がない」「自分でやったけれど上手くいかなかった」など、登記途中で断念した方にもおすすめします。
まとめ
不動産登記の手続きは、司法書士に任せましょう。
司法書士に依頼すれば、面倒な手続きに頭を悩ませずに登記を行えます。
新築や中古で住宅を購入した場合や遺産相続で不動産を所有する方はもちろんですが、売却する場合にも登記が必要になります。
自分で調べて申請しても、不備があるとやりなおしが必要です。
このようなリスクをなくすためにも、司法書士に依頼して期限内に登記を済ませてしまいましょう。