借金の返済が難しくなった場合の対処法として、債務整理はとても有効な手段のひとつです。
債務整理には自己破産・任意整理・個人再生の3種類があり、債務整理を行うという点では同じなのですが、
それぞれに内容が異なるため、ご自身の借金や債務整理後の状況に応じて、最適な方法を選択する必要があります。
ここでは個人再生(個人民事再生)について、メリット・デメリットも含めて説明していきましょう。
また、個人再生はどのようなケースが向いているのか、個人再生を申し立てる際にはどうすれば良いのかについても紹介していますので参考にしてみてください。
この記事でわかることは?
- 個人再生(個人民事再生)ってどんな手続き?
- 個人再生(個人民事再生)のメリット・デメリット
- 個人再生(個人民事再生)はどんな人に向いているの?
「借金を何とかしたい!」とお考えで債務整理を検討中の方は是非参考にされてください。
債務整理の個人再生(個人民事再生)とは
![六法全書の「民事再生法」が記載されている箇所のイメージ](https://elife-shihou.com/media/wp-content/uploads/2023/06/24004763_m-1024x681.jpg)
債務整理の個人再生(個人民事再生)とは、再生計画を定め債務整理を行い破産を回避しつつ債務者の経済的構成を行う手続きです。
再生計画を立て裁判所に認められることで、債務の減額や3年〜5年の分割払いへと強制的に変更が行われます。
債務を5分の1程度(借金が3000万円以上の場合には10分の1)にまで減額を行い、その減額された債務を3年〜5年という長期分割にて支払いを継続していくものです。
この個人再生手続は、民事再生法第13章「小規模個人再生および給与所得者等再生に関する特則」において定められています。
個人再生には小規模個人再生と給与所得者再生との2種類がありますが、一般的には小規模個人再生が利用されます。
債務整理の個人再生(個人民事再生)のメリット
個人再生(個人民事再生)を行うと、借金の元本の減額や借金を分割にできます。
また法的拘束力があるため、債権者の合意がない場合にでも借金の整理ができるのです。
資格が必要な仕事に制限がなく、また財産整理をする必要がないためマイホームを残せるなどのメリットがあります。
ここでは、それらのメリットについて詳しく解説していきます。
裁判手続きによる法的な強制力がある
個人再生は裁判所による再生手続認可決定がなされると法的な強制力が発生します。
任意整理の場合には裁判外交渉であるため債権者が納得しなければ合意できず、細かい要望や希望も聞いてもらえないという場合があります。
しかし個人再生であれば債権者も従わざるを得ません。
元本の減額や分割での支払いも債権者の要望ではなく法的に決まっているため、決まった期限でしっかりと完済が可能となります。
資格が必要な仕事が制限されない
自己破産を行うと、弁護士や会計士、不動産鑑定士などの士業、金融関連業や警備員、旅行業地理扱い管理者、建設業などの資格を必要とする仕事が制限されます。
しかし個人再生では資格に制限がかからないため、資格が必要な仕事を継続しながら手続きを行うことが可能です。
個人再生を理由に仕事ができなくなったり、会社を辞めなければならないといった職業上の影響はありません。
生活を経済的に立て直すためには、仕事は継続していく必要があるため、仕事に制限を受けないというのは大きなメリットです。
大幅な減額できる
個人再生を行うと、再生手続認可の決定許可により借金の総額や資産・収入の状況により、借金が5分の1(借金が3000万円以上の場合には10分の1)にまで減額を行えます。
手続きには小規模個人再生と給与者等再生という2つの方法があり、小規模個人再生の方が大幅減額が可能です。
任意整理では利息分はカットされますが、元本自体が減ることはありません。
しかし、個人再生では元本自体が大幅に軽減されるため、その後の支払い負担も軽くなります。
注意点としては、借金の総額に対しての最低弁済額が決まっていることです。
100万円以上500万円未満の場合の最低残債額は100万円となっており、500万円以上1500万円未満では借金総額の5分の1、1500万円以上300万円未満では300万円が最低弁済額です。
3000万円以上5000万円未満では借金総額の10分の1が最低弁済額で100万円未満では全額を返済しなければいけません。
分割払いにできる
再生手続認可決定の許可により減額された債務や借金は、強制的に分割払いにできます。
この分割の期間は原則として3年で、5年まで延長できる場合があります。
分割期間が決まっているため長くても5年後には完済していることになり、その後の計画を立てやすいということもメリットといえるでしょう。
個人再生のポイントは「強制的に」というところで、任意整理の場合には裁判所を通さないため強制力がなく、債権者が合意しない場合には一括で返済しなければいけませんが、個人再生の場合は強制的に分割払いにできることが大きなメリットと言えます。
財産の処分をせずに済む
個人再生の場合、再生債務者の財産・資産が強制的に処分されてしまうことはありません。
つまり、財産を処分しないまま債務整理を行う事が可能です。
ただし、その財産価格は減額される金額に関わってくるということを覚えておきましょう。
生産価値保証原則によって決められており、個人再生では破産した場合の配当額以上の金額は弁済しなければならないということになっています。
また、通常ではローンの残っている財産や資産などはローン会社によって競売や引き上げの対象となります。
債務整理の個人再生(個人民事再生)のデメリット
個人再生(個人民事再生)を行うには、デメリットを把握した上で検討することが大切です。
大きなデメリットとしては、ブラックリストに登録されることです。
また裁判所に申し立てを行うため、要件の厳しさや手続きの煩雑さがあり、弁護士や司法書士など専門家のサポートが必要です。
また、個人再生は官報に記載されることから、誰かに知られてしまう可能性もあります。
ここでは、個人再生におけるデメリットについて詳しく解説していきましょう。
ブラックリストに登録される
個人再生を行なったことは、信用情報に事故情報(ブラックリスト)として登録されます。
この事故情報は5年〜10年間は登録されているため、信用情報に事故情報(ブラックリスト)として登録されると5年〜10年間は新たな借入やローンを組むことやクレジットカードの使用がほぼできません。
クレジットカードが使用できなくなると、公共料金の支払いやネットショッピングなどの、クレジットカードを利用する利便性を享受できなくなります。
公共料金などの支払いをクレジットカードで行なっている場合には、手続き前に変更が必要です。
ブラックリストに登録されることで、信用問題だけではなく、日常生活でも不便を感じることが多くなります。
利用するための要件が厳しい
個人再生は、管轄の地方裁判所に対して再生手続き開始の申立書を提出し、再生手続き開始の申立てを行います。
裁判所が申立てを受理すると、内容の審査と個人再生の要件をみたしているかが判断されることになります。
個人再生が裁判所に認められる要件には、債務者が個人であることや債務者に継続的にまたは反復して収入を得る見込みがあること、再生債権額が5,000万円を超えていないことが求められます。
ここがポイント!
個人再生が裁判所に認められる要件は?
- 債務者が個人であること
- 債務者に継続的にまたは反復して収入を得る見込みがあること
- 再生債権額が5,000万円を超えていないこと
この要件をクリアしなければ認可されないため、事前に適用をしっかりとチェックすることが大切です。
手続きが複雑
個人再生を認可してもらうためには、数多くの要件が必要であり、またその手続きも煩雑です。
再生計画を立てるために収支や家計調査・財産や資産の調査・債権調査などを行います。
また住宅ローンがある場合には債権者との事前協議も必要です。
まず弁済見込み額を原則6ヶ月支払っていくという履行テストを行い、その後ようやく手続き開始決定がされます。
このようなことからも個人再生で負担を減らすのであれば、司法書士などの専門家のサポートが必要と言えるでしょう。
誰かに知られる可能性がある
個人再生を申し立てると、国が発行する機関紙である官報に公告されてしまいます。
また、省庁や地方公共団体・会社・裁判所の公告も行われ、さらに再生手続決定がされた時も官報に公告されます。
公告内容には氏名や住所も含まれるため、全く誰にも知られずに個人再生を行うことはできません。
しかし、一般的には官報などを日頃からチェックしている人はほとんどいないため、実際に知り合いに知られるということは少ないと言えるでしょう。
債務整理の個人再生(個人民事再生)がおすすめのケース
債務整理には3種類の選択肢がありますが、それぞれに特徴があります。
ケース毎にどの債務整理方法が最適なのかを見極める必要があります。
ここでは、任意整理で和解ができない場合や返済期間を短くしたいケース、給料が差し押さえられているケースについて詳しく説明していきます。
要するに?
個人再生(個人民事再生)がおすすめのケースは次に該当する場合といえます。
- 任意整理で和解できない場合
- 返済期間をできるだけ短くしたい場合
- 給料が差し押さえられている場合
どの債務整理の方法がご自身のケースにあっているかの参考にしてください。
個人再生(個人民事再生)がおすすめのケースについて詳しくみてみましょう。
任意整理で和解できない場合
民事再生の場合には強制力がないため、債権者の同意がなければ債務の減額や分割などができません。
しかし、個人再生は裁判所に申し立てを行い認可してもらうために法的な強制力があります。
このため、細かい希望だけでなく簡単な要望であっても和解に応じてくれない債権者の場合には、任意整理よりも個人再生の強制力が有効です。
裁判所の認可がおりていれば、債権者の要望にかかわらず債務を債務額によって5分の1から10分の1まで減額し、また3年〜5年のローンで支払うことが可能です。
返済期間を短くしたい場合
個人再生では返済期間が3年から5年と決められています。
返済期間が短い場合には、月々の返済額が大きくなってしまうので債務が大きい場合には長期返済になってしまうことがあります。
しかし、個人再生では元金も大幅に減額されるため、支払いの負担が少なく済ませることが可能です。
返済期間が明確であることから、完済後の将来の設計が立てやすく、年齢や仕事などを考えて返済を短くしたい場合には個人再生が向いています。
給料が差し押さえられている場合
個人再生の特別類型として、給与所得者等再生という、定期的で変動の小さい収入のある債権者のみが利用できるものがあります。
これにより給与の差し押さえを受けている際に、個人再生の手続きが決定すれば差し押さえが中断されます。
手続き完了後に差し押さえられていた給料を受け取ることが可能です。
任意整理であれば差し押さえの手続きが継続することから、給与の差し押さえがある場合には個人再生の方が有効だと言えます。
債務整理の個人再生(個人民事再生)は司法書士への相談がおすすめ
個人再生は裁判所に申請を行うため、調査や収集書類が多く、手続きが煩雑です。
個人で専門的分野を行うには失敗のリスクも大きいでしょう。
専門家である司法書士に依頼することで、債権者に委任通知が届き請求や取り立ても停止します。
ここでは、司法書士などの専門家に依頼を行うメリットについて紹介していきます。
の取り組み
アカルイミライを運営するイーライフ司法書士法人は、借金問題を創業当時から取り扱い、様々な問題を解決してきました。
個々の様々なケースに最適な答えを持っています。
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個人再生の複雑なやり取りをサポート
個人再生は裁判所への申し立てを行わなければいけません。
そのためには数多くの要件を満たす必要があります。
その要件を満たしているのかを事前にチェックを行わなければならず、また申請するための書類作成には書類収集、事前調査など煩雑な手続きが必要です。
これらを個人で行うのはかなりの負担と言え、失敗するリスクも大きくなってしまいます。
債務整理は専門家である司法書士に依頼することで安心して進められます。
依頼すると請求がストップ
個人再生は事前準備を行うだけでかなりの長い期間を要します。
書類収集や調査・書類作成だけでなく、住宅ローンの会社などと事前協議を行う場合もあるためです。
このような手続きを進めている間にも請求が続きます。
しかし、司法書士に依頼して債権者に委任状通知が送られることで請求や取り立ては停止します。
まずは早急に請求を止めるためには、債務整理の専門家である司法書士に相談をし、請求を止めるのが得策と言えるでしょう。
まとめ
債務整理を行うには、専門家である司法書士に相談することをお勧めします。
現在の置かれている立場や債務の形態によって、どの方法で債務整理を行うかも変わってきます。
また個人再生は裁判所に対して申し立てを行うため、専門的な知識が必要です。
失敗なくスムーズに手続きを進めるためにも専門家に相談し、アドバイスやサポートを依頼すると安心です。