消滅時効の援用を簡単に説明すると、時効になっている借金やローンの返済を消滅させられる手続きです。
気づいていない間に借金が時効になっていて、その時効になった借金を消せる人もいるでしょう。
消滅時効の援用を行いたいが、詳しいことを知りたい人のために本記事では、援用できる条件や費用を解説します。
この記事でわかることは?
- 時効の援用とはどんな手続きなのか
- 時効の援用ができる条件
- 時効の援用を依頼できる依頼先と必要な費用
時効の援用の手続きをお考えの方はぜひ参考にされてください。
消滅時効の援用とは?
消滅時効の援用とは、借りたお金の返す約束を消すことです。
しかし、消滅時効の援用は返せなくなった借金をなくして債務者(お金を借りた人)を助ける制度ではありません。
お金を返す約束をする際に、債権者(お金を貸した人)は借金を滞納している債務者に対して返済の催促をしたり、裁判したりしてお金を返してもらう権利を持っています。
ところが、借金を滞納をされているのにお金を返してもらう権利を使用せずに、一定期間が過ぎてしまうと、債務者は消滅時効の援用の手続きを行って借金の約束を消すことができます。
したがって、消滅時効の援用とは、滞納されている借金を返してもらう権利をもっているのに使っていないから、借りたお金の返す約束を消滅させられる手続きです。
消滅時効の援用ができる3つの条件
消滅時効は誰でも援用できるわけではありません。
消滅時効の援用を使用できる条件が3つあるので、以下で1つずつ説明していきます。
1.消滅時効の期間が経過している
消滅時効の期間が経過していることです。
消滅時効を迎える期間は2種類あります。
1つは、権利を行使できるとき(客観的起算点)から10年間行使しない場合です。
権利を行使できるときとは、代金に支払期日が定められていて支払期日到来後から10年間起算します。
もう1つは、権利を行使できると知ったとき(主観的起算点)から、5年間行使しない場合です。
つまり、支払期日が到来した=権利行使できると知ったときから、早くても5年間で債権は消滅するでしょう。
上記の2種類の早い方が消滅時効の期間を経過していると言えます。
2.債権者が裁判を起こしていない
債権者が債務者に対して、裁判や支払督促などをされていないことです。
裁判や支払い督促などをされてしまっていると、数えていた期間が一から数えなおしになり、リセットされてしまいます。
つまり、裁判を起こされてしまうと、時効期間がリセットされて、また一から消滅時効できる期間になるまでは援用できません。
裁判を起こされてしまった場合、時効期間が一律10年に延長されます。
レターパックやはがきなどで届く督促状は、裁判を起こされたことにはなりません。
したがって、受け取っても時効期間がリセットされないし、10年に延長もされないので安心してください。
3.借金をしていると認めた発言をしていない
借金していると認めたり、認める発言をしたりしていると当分は時効の援用ができません。
借金をしていると認めてしまった場合、債務の承認をしたことになり、時効期間がリセットされてしまって、また一から期間が数えなおしです。
例えば、借金を少しの金額でも返済したり、借金をしていると書面や電話で支払う意思を伝えてしまったりしている場合は、債務の承認をしたことになり借金があると認めています。
債務の承認をしてしまっていると、その時点からさらに5年間経過しないと消滅時効の援用はできません。
よって、督促状などが届いたからと焦って電話をして、債権者の言われるがままに返済を約束させられる可能性もあるので注意してください。
消滅時効の援用をするメリット
消滅時効の援用を行うと、借金を返済する義務が無くなるためゼロにできるというメリットがあります。
自分の財産を手放さずに借金を消滅させられるので、返済できないから自己破産などの債務整理をする必要はありません。
また、消滅時効の援用の手続きを行うと、借金の取り立てや督促状などの郵便が来なくなるため、返済が難しく悩んでいた方は、心理的に解放されるでしょう。
さらに、消滅時効の援用をした借金は完済したときと同じ扱いになるので、一定期間経過すると、信用情報機関のブラックリストから削除されます。
したがって、ブラックリストから削除されると、クレジットカードやローンなどの審査が通りやすくなるでしょう。
消滅時効の援用にかかる費用
消滅時効の援用の手続きを、自分で手続きを行った場合と専門家に依頼する場合では、費用はどれくらい違うのでしょうか?
以下では、消滅時効になっている借金を援用するのに、どのくらい費用が必要なのかについて説明します。
消滅時効の援用にかかる費用をまとめると
誰が手続き? | 費用は? | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
自分で行う場合 | 約2,000円 | 費用が安い | 時間や手間がかかる |
行政書士に依頼 | 約10,000〜30,000円 | 費用が安い | 自分でやらなければいけない手続きもある |
司法書士に依頼 | 約35,000〜80,000円 | 費用が安く自分でやることがほとんどない | 自分でやるより費用がかかる |
弁護士に依頼 | 約40,000〜100,000円 | 自分でやることがほとんどない | 費用が高額 |
自分で行う場合
消滅時効の援用を自分で行う場合は約2,000円です。
以下は金額の内訳になります。
■消滅時効の援用を自分で行う場合の費用内訳
- 内容証明郵便料金:440~700円
- 書留郵便料金:435円
- 配達証明料金:320円
- 基本料金:84円
専門家に依頼するよりも自分で行う場合、作成した書類を送る費用だけがかかるので、安いです。
費用を抑えたい人や自分で手続きできそうだという人は、時間や手間はかかってしまいますが、自分で手続きを進められるでしょう。
しかし、自分で進め方や手順など調べて、消滅時効の援用の手続きを自分で進めるのが難しい人は費用はかかってしまいますが、専門家に依頼するのがおすすめです。
行政書士に依頼する場合
行政書士に依頼したときは、10,000〜30,000円くらいの費用が必要になりますが、事務所によって費用は異なります。
債権者と交渉したり、裁判所に対応できたりする司法書士や弁護士に比べて、行政書士は内容証明の代書しかできないため、費用を安く抑えることが可能です。
しかし、自分でしないといけないことが増えるので、消滅時効の援用をするのに時間がかかってしまいます。
司法書士に依頼する場合
司法書士に依頼する場合、消滅時効の費用の相場は35,000〜80,000円くらいです。
費用は司法書士事務所によって異なります。
消滅時効の援用を依頼した報酬が無料の事務所や費用が安めな所もあるので、費用を抑えたい方は、自分に合っている司法書士事務所を見つけると良いでしょう。
弁護士に依頼する場合
弁護士に依頼したときの費用の相場は、司法書士よりも少し高めで40,000〜100,000円くらいです。
司法書士と同じで、依頼する弁護士事務所によって費用の金額が異なります。
また、弁護士に依頼すると時効の援用の手続きが終わった後に、高額な成功報酬が必要な事務所もあるため、注意してください。
よって、依頼する費用(着手金)が安くても成功報酬が高額な場合があるので、着手金と成功報酬両方の金額を確認してから選ぶようにしましょう。
消滅時効の援用を相談できる3つの専門家
消滅時効の援用を相談できる専門家は、行政書士と司法書士と弁護士の3つです。
専門家によって対応できる内容が違うので、以下で1つずつ紹介していきます。
行政書士
消滅時効の援用を行政書士に依頼すると、内容証明の代書をすることが可能です。
しかし、援用の代理人や債務者との交渉はできないため、行政書士に依頼しても借金の取り立てや督促は止まりません。
つまり、内容証明の代書しかできないので、費用は比較的安く抑えられます。
司法書士
司法書士に依頼すると、内容証明代書、債権者と裁判外交渉や裁判対応もできるため、借金の取り立てや督促を止めることが可能です。
また、消滅時効の援用の代理人になれます。
しかし、借金の元金が140万円を超えている場合、司法書士は代理権を超えてしまうため代理人になれません。
したがって、司法書士は借金の元金が140万円以下なら代理権の範囲内なので、代理人ができます。
さらに、裁判をされていても司法書士は、裁判所で消滅時効の援用することが可能です。
弁護士
弁護士は司法書士と同様で、内容証明代書、裁判外交渉や裁判対応もできるため、消滅時効の援用の代理人になれます。
司法書士とは違い、借金の金額は関係なく代理人になることが可能です。
借金の金額が関係ない分、依頼する費用や成功報酬の相場が、他の専門家より高くなります。
そのため、高額な費用や成功報酬の支払いが依頼者の負担になってしまう可能性があるでしょう。
消滅時効の援助は司法書士に相談する方が良い2つの理由
自分で行うと費用を安く抑えられるが、手続きに時間や手間がかかってしまうため、専門家に依頼した方が、消滅時効の援用の手続きがスムーズです。
専門家に依頼した方が良い理由を以下で説明していきます。
の取り組み
アカルイミライを運営するイーライフ司法書士法人は、借金問題を創業当時から取り扱い、様々な問題を解決してきました。
個々の様々なケースに最適な答えを持っています。
無料相談を常時、実施しております。
借金問題の無料相談の予約はこちらから
自分でやるよりも成功率が高い
自分で手続きを行うよりも専門家に依頼すると成功率が上がります。
なぜなら、自分で進めて行って、タイミングや対応を間違えてしまうと、また一から5〜10年間は消滅時効の援用をできない可能性があるからです。
しかし、司法書士は実務経験、債務整理や借金の知識を持っているので、適切なタイミングや対応をしてくれます。
そのため、自分自身で行うよりも費用はかかってしまいますが成功率が高く、失敗するリスクが低いです。
手続きを全部専門家に任せることができる
消滅時効の援用に必要な書類を作成をしたり、代理人として裁判所対応や債務者と話して交渉してくれたり、司法書士に依頼をすると全ての手続きを進めてもらえます。
しかし、司法書士は借金の元金が140万円以下の場合にしか対応できませんが、140万円を超える依頼は少ないです。
弁護士は140万円を超えている依頼も代理人になって対応できますが、着手金以外に成功報酬も必要になってくるので、費用は高くなってしまいます。
よって、140万円未満の場合は、弁護士に依頼するよりも司法書士に依頼する方が費用が安いです。
まとめ
消滅時効の援用はタイミングや対応を間違えてしまうと、時効になるまで待たなければなりません。
専門家に相談すると、成功率が高くスムーズに手続きを行えます。
借金の元金が140万円以下なら司法書士、140万円を超える場合は弁護士に相談や依頼するのがおすすめです。
何か困ったことがあった際は1人で抱え込まずに、オンライン相談や無料カウンセリングなどのサービスもあるため、気軽に利用してみてください。