生活保護を検討している人の中には、借金をしていても生活保護は申請できるのか、今ある借金はどうなるのか、といった疑問を持っている方がいるでしょう。
今回はすでに借金がある方に向けて、生活保護申請の条件、生活保護を受けた場合の借金の返済義務、生活保護の注意点などについて紹介します。
借金返済や生活の立て直しをする上で、生活保護を受けるべきか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかることは?
- 借金があっても生活保護を受けることはできるのか
- 生活保護を受けていても借金は返さないといけない?
- 生活保護受給中の借金の注意点
知っていれば怖くありません。
借金でお困りの方の参考になれば幸いです。
借金があっても生活保護を申請できるのか?
結論から言うと、借金があっても生活保護を申請することは可能です。
しかし、生活保護を受給するには条件があり、誰しもが申請できるわけではありません。
ここでは生活保護がどういった制度なのか、生活保護の概要と生活保護を受けられる条件について紹介します。
生活保護の概要
生活保護制度とは、生活が困窮する方に対し、国や地方自治体が必要な保護を行う制度を指します。
保護を行う理由は、憲法第25条に「すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と定められているからです。
資産や能力、親族からの支援など、あらゆるものを活用してもなお最低限度の生活を維持できない場合には、保護することが国家の義務とされています。
生活保護制度は、健康で文化的な最低限度の生活を保障することで、生活の立て直しや自立の手助けをすることが目的です。
借金があっても生活保護は申請できる
生活保護の申請には、借金があるかどうかは問われません。
よって、借金の有無に関わらず、一定の条件を満たせば生活保護を受けることが可能です。
申請をすると、福祉事務所によって受給対象にあたるかどうかが精査されます。
なお、生活保護を受けるには世帯全員が条件を満たしている必要があるため、あらかじめ確認してください。
生活保護を受けられる条件
生活保護を受けられる条件として「資産の活用」「能力の活用」「あらゆるものの活用」の3つが挙げられます。
ここがポイント!
□生活保護を受けられる条件は3つ
- 「資産の活用」
- 「能力の活用」
- 「あらゆるものの活用」
順番に解説していくので、確認してみてください
「資産の活用」における資産とは、預貯金や生活に必要でない土地や家屋などの不動産のことです。
保有する資産を全て使っているのが、受給の条件とされています。
「能力の活用」は、主に働く能力のことです。
能力に応じて働いても生活を維持できる収入が得られない場合は、生活保護の対象となります。
「あらゆるものの活用」は年金や給付金、手当など利用できる制度がある場合、生活保護よりも先に活用しなければなりません。
また、親族からの援助が受けられないことも受給対象の条件です。
生活保護を受けたら借金の返済義務はどうなるのか?
借金があっても生活保護を受けられることはわかりましたが、その場合もともとあった借金はどうなるのでしょうか。
借金が帳消しになるという考えは間違いで、借金の返済義務は消えません。
ここでは生活保護を受給した場合の借金の返済義務と、借金を放置するリスクについて解説します。
生活保護を受けても借金の返済義務は残る
借金があっても生活保護は受給できる半面、生活保護制度によって借金が減ることはありません。
借金にはお金を貸した側の債権者と借りた側の債務者との間に、金銭消費貸借契約が結ばれているからです。
生活保護制度には法的な契約を解消したり、債務者の返済義務を免除したりする効力はありません。
返済義務が消えないからといって、生活保護費を借金の返済に当てられないので注意してください。
後ほど詳しく説明しますが、生活保護費を借金の返済にあてることは不正受給に該当するからです。
借金の返済に行き詰まり、生活保護の受給を検討している方でも、借金の整理を優先することをおすすめします。
生活保護を受給したところで、借金の滞納には遅延損害金が発生しますし、さらに借金返済を進める方法がなくなって状況は悪化しかねません。
返済する目途が立たない場合は司法書士や弁護士などの専門家に相談し、先に債務の整理をするようにしましょう。
借金を放置し続けると起こるリスク
生活保護を受けるのは生活が苦しいということですが、借金を放置するのは大きなリスクです。
返済するまでの期間が長ければ長いほど、利息分のお金を多く支払わなければなりません。
返済期日を過ぎてしまうと、遅延損害金も請求されます。
それでも滞納を続けると元金や利息、遅延損害金を一括での支払いが求められるため、返済はさらに難しくなるでしょう。
最終的に行われるのは、資産の差し押さえです。
資産の差し押さえは生活保護法により差押禁止とされていますが、対象の口座に生活保護費が入っていれば預貯金と見なされてしまうので注意してください。
生活保護費が差し押さえにあった場合、裁判所への「差押禁止債権の範囲変更の申立て」によって解決する場合もあります。
しかし、滞納している限りは何度も差し押さえられてしまう可能性もありますし、その度に申立てをするのは費用も手間も掛かって得策ではないでしょう。
生活保護受給中の注意点
生活保護を受給する際には、注意すべき点があります。
生活保護費の減額や停止措置を受けないために、禁止事項を知っておくのは大切です。
以下に生活保護受給中の注意点を紹介します。
生活保護費で返済してはいけない
生活保護費の具体的な使用用途は法律では決められていませんが、生活保護費を借金の返済に当てることは原則禁止です。
生活保護費は最低限の生活を保障するためのものであり、住宅ローンをはじめとするローン返済に使うのも認められていません。
借金を返済するのは、生活費以上の余裕があることになります。
また、生活保護費をまかなっているのは国民の税金です。
個人の借金返済のために使われるのは、妥当でないことがわかるでしょう。
生活保護費を借金の返済に使ったことがわかった場合は、不正受給と判断される可能性があります。
その場合、受給の打ち切りや借金返済に使った金額の返済、または罰則を含めそれ以上の額を求められるケースもあるので注意してください。
新たな借金はできない
生活保護を受給中に、新たにお金を借りることに対しての具体的な規定はありません。
しかし、受給中に新たに借金をしたことが判明した場合、生活保護費は減額か支給停止となると思っておいた方が良いでしょう。
新たにお金を借り入れることは、収入が増えたと見なされます。
そもそも生活保護費は、最低限の生活が送れるだけの費用を支給するものです。
つまり収入が増えたと見なされれば、その収入分は減額されます。
減額や支給停止を避けるために、福祉事務所に借り入れを隠そうと考える方もいるかもしれません。
しかし、福祉事務所には、生活保護受給者が利用する口座を調査する権利があります。
福祉事務所にばれずに新たな借り入れは、不可能と考えた方が良いです。
借り入れがばれた場合は不正受給とみなされ、悪質と判断されれば、今まで支給を受けた生活保護費の返済を求められるケースがあります。
生活保護を申請する前に借金問題を司法書士で解決する方法
借金があっても生活保護は申請できますが、生活保護を受けてから借金の返済を進めるのは困難です。
生活保護を申請する前に弁護士や司法書士などの専門家に相談して、借金問題を解決しておくことをおすすめします。
以下、借金を解決する債務整理の方法を紹介します。
の取り組み
アカルイミライを運営するイーライフ司法書士法人は、借金問題を創業当時から取り扱い、様々な問題を解決してきました。
個々の様々なケースに最適な答えを持っています。
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任意整理
任意整理とは、弁護士や司法書士を通して貸金業者と交渉して、返済金の利息のカットや返済期限の延長後に借金を返しやすくすることです。
一定期間特定の職業につけなくなる制限や、全ての財産を処分する必要がないので、手続き後の影響が少ない債務整理の方法と言えます。
任意整理が可能なのは、借金を継続して返済できる一定の収入がある方です。
減額したら返済できるだろうという見込みがなければ、債権者はそもそも任意整理の交渉に応じてくれません。
そして、任意整理で減額が期待できるのは、あくまで利息分のみです。
元金分は必ず返済する必要があるので、他の方法に比べると減額率は低いと言えるでしょう。
自己破産
自己破産とは、裁判所に申立てをして借金の返済が不可能なことを認めてもらい、残りの支払いを全額免除してもらう債務整理の方法です。
借金をしたまま生活保護を受給した場合、自己破産は唯一の債務整理の方法と言えます。
なぜなら、借金のほぼ全額を帳消しにできる手続きは、自己破産以外にないからです。
ただし、所有が認められている一部の自由財産を除いて、家や車などの財産は全て処分されてしまいます。
クレジットカードが作れず、職種によっては一定の間その仕事に就けないといったデメリットがあるので覚えておきましょう。
また、保証人を立てて借金をしていた場合は、返済の請求が保証人に送られるので注意が必要です。
個人再生
個人再生とは、裁判所に申立て、現在抱えている借金を減額してもらう方法です。
減額の程度は借金額や持っている財産量によって決まりますが、最大で9割の借金を減額できます。
債務者は減額された借金を原則3年、特別な事情がある場合は5年で返済していきます。
メリットとしては、全額ではなくとも大幅に借金を圧縮できる点です。
そして個人再生の場合は自己破産と違い、住宅を処分しなくていいという特徴があります。
しかし、住宅の価値が高ければ借金の減額が少なくなり、個人再生をするメリットがなくなる可能性もある方法です。
まとめ
借金をしていても、生活保護の申請は可能です。
しかし、生活保護費を借金返済にあてることは禁止されているため、生活保護を受けながら借金返済するのは現実的に難しいでしょう。
おすすめは、生活保護申請前に債務整理を行うことです。
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